第3話

1941年、12月8日 日本軍、ハワイ真珠湾を攻撃。

ドカン!凄まじい爆発音と共に敵の戦艦に煙が上がる。敵側からすればこれはとても痛い一撃だった。この攻撃が勝敗を分けた。日本軍は多くの未帰還者を出しながらも、我が国の勝利を心から喜んだ。最近は未帰還者が本当に多くなった。敵の攻撃が強力であるのはもちろんだが、カミカゼの精度が出来てから急激に増えた。しかし、カミカゼとして攻め込むことが決まった兵士たちは皆最期、逞しく、誇らしい顔をして攻め込んで行く。それもそのはず、1人の兵士としてこの国のために死ぬなんてとても名誉なことだ。そんな名誉なことを言い渡された兵士たちは必ず遺書を残す。実家に母や兄弟、中には妻を残していたものが多くいるからだ。1人部屋で遺書を書く若い男もそうだった。

「父上、母上、長い間有難ふ御座居ました。只今より征きます。誇ってきださい。私は国の為死ぬことができます。妻の腹の中の子にも自慢しておいてください。私の大切な父上、母上、そして妻と子よ、さようなら。」

その後、彼の攻撃が成功したかどうかは誰も知らない。ただ、彼が帰ることがなくなったのは紛れもない事実。



ザ、ザザザーーーーーーーーーー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る