第24話 鳥籠の中

 クク。やっとだ。

 やっとこの日が来た。


 この俺、井上秀太様が暴れる時がよ……。

 くくく。おかげ様で朝からビンビンに元気なぐらいだ。


 今日のショーなんかははっきり言ってどうでも良い。

 そんなものは俺様にとっては朝飯前だ。朝飯前。


 それに、溜まりに溜まったストレスも今日で少しは還元されるだろうからな……。


 くくく、待ってろよ。蜜柑。


 お前の体はもう俺のモノだ。

 ちょうど、奴隷たちには既に手配しているからな……。


 ショーが終了したら打ち上げがある。

 ちょうどみんなが集まって、二~三時間ぐらいやるのが定番だ。


 ま、よっぽどの理由がない限りは全員参加しなくちゃいけないが。

 中には次の仕事があって早めに帰るヤツもいる。


 くく。だが、蜜柑のやつは絶対に最後まで参加する。

 アイツは俺と一緒に居たくて仕方ないだろうからな。


 ったく。

 なんて可愛いヤツだ。


 もう無性にヤリたくなってくるだろうが。


 だが、アイツと今日の夜を過ごすのはもう確定事項だからな……。

 そこは絶対変わらない。絶対に。


 しかし。

 この胸の内から湧き上がってくるムズムズ感。


 やべえ……。

 やべえぞこれは。


 もう想像しただけでが。


 蜜柑がベッドの上で……俺の下で喘ぐ様子がもう想像できちまう。


 なんなんだ。これは。


 今までに数えきれないぐらいの女とヤッてきたってのに。

 この俺がここまで興奮するとは……。


 くッ。くくく。

 やっぱりお前は最高だよ……蜜柑。


 それもこれも、お前が可愛すぎるのがいけないんだ。


 そして、焦らしに焦らしまくるツンデレ属性。


 もう何十回もやられて性欲しか高まらない悪手を打ってきたからなぁ。


 ハハッ。

 これはお仕置きだな。お仕置き。


 朝までコースじゃなく、三日コースにしちゃうぞ俺は。

 くくく。


「秀ちゃーん。朝食持ってきたよー!」

「お。サンキュ。へへ……流石は俺のマネージャーだな。

「――キャッ。んもぅ……朝からそんなお尻ばっかり触って……。ダメだってばぁ」

「あん? 良いだろお前と俺の仲なんだし。それともなんだ? この俺が不満だっていうのか? ん?」

「もー! そんな訳ないじゃーんッ! 秀ちゃんのことは誰よりも一番愛してるからねッ♡」

「そうかそうか。さや子にそう言われると照れちまうなあ? そしたらもう一段階……いっとこうか?」

「あん――!? ちょ、ちょっと秀ちゃん!? そ、そこはほんとに弱いから……んっ///」


 くく。やっぱり昔からをやっていただけのことはあるな。

 コイツは。


 まあ、この俺様のマネージャーをやれるなんて早々ないからな。

 それなりの報酬はこっちも与えているが。


 ハッ。まあいい。

 これでちょいとは充電できそうだし。


 仕方ねえ。

 今日の仕事はくっそだりぃけど少しは本気でやってやるか。少しぐらいは。


 ま。多分観客の皆……特に若い女連中全員は俺様に夢中になりすぎて惚れてしまうんだろうが……。


 くくく。

 いやー照れるなぁ。


 やっぱ、超イケメン俳優でこんなにも活躍しているのって俺だけだろ。絶対。


 ま、それ以外の奴らは全員ザコだし……クズすぎて話にもならねえけどな。


 最近出てきた新人の俳優なんかも、顔も小汚いし実力も底辺中の底辺ばっかだし。


 ハッ。

 つまんねえな。ほんとに。


 そんなんで、この天下の井上秀太に勝てるとでも思ってるのか? ん?


 バカにしやがって。

 お前らはそこら辺のゴミクズと同じくらい価値が無いってことをまずは自覚しろ。


 ああいうヤツらがいるからこの国の芸能界レベルは下がってるんだ。


 分かってんのか。本当に。


「ハア……ハア……。もー、ちょっと秀ちゃんったら。ほんとスケベなんだからぁー」

「くく。わりいわりい、さや子。ついついお前の胸の柔らかさにずっと揉んじまったわ。許せ」

「えへへ……もうっ。恥ずかしいこと言わせないでよー。これでも一応、秀ちゃんのマネージャーなんだからねっ?」

「ハハッ。分かってるっての。だから、俺の隣にいることを許可してるだろ?」


 くく。

 しかし、コイツも最初は遠慮してたのに、最近はかなりグイグイ来るようになったな……。


 まあ、それだけこの俺の事が魅力的過ぎて好きになるのは分かるが……。

 ふ、やっぱモテる男はツラいなあ。


 こんなに女に愛されてるんなんてもはや神だろ。自分。


 後はツンデレ勢の奴らをどうにか攻略しないとな。くく。


 って、あ?

 あれは……もしかしてか?


 今日は確かオフだったはず。

 それなのに、なんでこんな朝早くから事務所に……。


 しかも、彩夏だけじゃなくて隣に並びながら楽しそうに喋っている男……。


 どっかで見たことがあるような……ああ。

 今秋から始まるの人か。


 名前はたしか……だったっけ。


 最近、噂程度には聞いてはいたが。


 どうやら、あの野郎はこの俺とらしいな。


 何でも、周りを取り込む演技力とクールな雰囲気が味を出しているとか何とか。


 ハッ。まあアイツは中々の実力者といっても良いだろう。


 とはいえ、この俺には到底及ぶはずがないがな。くく。


 しかし、あの彩夏にまたがついているようだ。


 あんな奴とこの事務所に来てイチャイチャするだなんてな。


 ソイツは俺が先に見つけた獲物。

 それを先に横取りしようなんざ、百年早えんだよ。


 くく。

 どうやら、あの江本とかいう奴には少々痛い目に合わせないといけないらしいな。


 ふ、だが今はまだいい。


 なぜなら――彩夏。

 お前は既に、にいるんだからな。


 それも、


 俺がここまでどれだけ汗水垂らして頑張って来たか。


 お前は知らないと思うがな。


 とにかく、蜜柑の件が終わったら次は彩夏……お前だ。


 だから今の内に、甘い蜜でも吸って待っとけよ。

 くく。今の内に、な。




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