第5話 一之瀬唯奈

 あーあ、今日もちょっと飲みすぎちゃったなー。

 もう少しセーブしないと。うん。


 でも、明日は久しぶりのオフだから、まあいっかっ♪


 普段からモデル業で真面目にやってる身だし。ふふっ。

 自分へのご褒美だと思えばそれで良いよねっ。


 だって、好きな事やって稼がないと、こんな世の中やっていけないし。


 それに私、超可愛くてモテるから。

 何もしなくても、すぐ新しい仕事くるし。


 ふふ。これこそ、人生安泰ってやつよねっ。


「唯奈様。ご体調は大丈夫でしょうか? 一昨日は随分と泥酔状態でしたので……」

「んー大丈夫。ふふっ。心配してくれてありがとっ! 七瀬さんっ♪」

「いえいえ、とんでもございません。これも唯奈様のマネージャーを務めている私の責務ですので。このままお帰りになっても宜しいですか?」

「うん! おーけー!」

「はっ。かしこまりました」


 うんうん。やっぱり自分の信頼してるマネージャーさんは頼りになるよねっ。

 私と年齢近いし、カッコよくてキリっとした女性だし……。


 ふふ。いつもこうして迷惑かけちゃってるから、今度何かプレゼントでも買いに行こっかなっ。


 この前、誕生日に渡した時なんかも、嬉しそうに照れてて可愛かったしっ。


 あ、でも。

 さっきまで私の話相手になってくれた男の子……大介君。


 あの人、すっごく気に入っちゃったっ♪


 一昨日、初めてBarに来た時はちょっと抵抗があったけど、ふふっ。


 今回もちゃんと私の話、聞いてくれるし。

 聞き上手だし。


 年は私よりも上らしいけど……たまに子供っぽい所もあって可愛いしっ。


 まあ、顔はそこまでイケメンって感じじゃないけど……。

 でもああいう人、私けっこうタイプっ。


 よくモデル業界とかは、自分から噛みついてくるが一杯いるから。

 ほんとあれ。適当にあしらうのも疲れるし。

 ストレス溜まっちゃうのよね。


 でも、大介君はそんな人たちとは違うからねっ。うんうんっ。

 私、これでもが分かるから。


 こう見えて意外とガード固いし。

 一度見限った人にはもう絶対に関わらないって決めてるからねっ。ふふ。


 だから、ちょっと近寄ろうだなんて甘いこと考えてもダメっ。絶対に。


 でもつい最近、私のモデル仲間が彼氏と付き合ったーってよく聞くから。

 自分もこの頃、色々と焦っちゃうのよね。うん。


 まあ、自分が求める相手の要求レベルが高いからかもしれないけど……。

 ふふっ。そこは気にしないでおこっ。


 でも、大介君。

 ほんとに彼、今まで彼女とかいたことなかったのかなー……。


 さっきも色々とプライベートのこと聞いたけど、全然私に教えてくれなかったし……。

 もうっ。意地悪だよね。完全に。


 それに、このが、あれだけ近くにいたのに。

 何とも知らんぷり、みたいな顔しちゃってさ……。


 むーっ。なーんか今になってムカついてきたっ。


 今度、またあのBarに行ったときは必ず聞き出してやるんだから。絶対に。

 それと、連絡先も。

 これも絶対。うん。


 あ。でも、将来。

 になれるかどうかまではまだまだかなーっ。

 ふふっ。私、そこはちょっと厳しいからねっ。


 彼がどこまでこの私をそこまで持って行ってくれるのか。

 少し興味があるしっ♪


 今までの男は第一段階でほとんど落ちちゃうからね。ふふっ。

 大介君にはもう少し頑張って貰わないとっ。


「唯奈様。電話が鳴っておりますが、取らなくて宜しいのですか?」

「あっ。ごめん七瀬さんっ! ちょっと考え事してて気づかなかったっ!」


 いけないいけないっ。

 つい考え事をして周りの事が見えなくなっちゃうのは私の悪い癖だ。


 うん。これからこういう所は気を付けないとね。


 それにしても、こんな時間に電話なんて誰からだろう。

 って、あ。からだ。


 ふふ。確か三ヶ月前、食事会で会った時にお話しして、それから仲良くなったんだっけ。


 私も定期的に彼女と会って、よくオフの日とか遊んだりするし。うん。


 まあ、彼女はだから、色々と人目がつく所は避けないといけないけど。


 あ、でも。それを言ったら私も一緒か。

 有名人になったらそういう所を気にしないといけないから色々と大変よね。

 うんうん。


 それに私も丁度、彩夏ちゃんとお話ししたいことがあったしっ。

 多分、彼女も明日オフだから、これからゆっくりお話できそうかな。


 ふふ、嬉しいなっ。



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