あおりんごあめ

わたあめ

腐る。

あおりんごあめが居た。

眠かった。

あおりんごあめは、「青リンゴ飴」ではなく

「青」りんごあめ である。

要は 青い りんごあめである。

早くそう言えばよかった。


あおりんごあめは、緑の青じゃない。

真っ青の青である。

海の青である。

多分、食べられない。

食べたらアイツは泣くだろう。


あおりんごあめは いつも青かった。

常にブルーな気分で過ごし

青息吐息を吐く青二才、

そのツヤのある あめのコーティングは青々しく

雨の日をとても喜んだ。


あおりんごあめは常に異色を放つ存在だった。

見た目に限らず 中身まで風変わりなやつだった。

あおりんごあめは周りと仲良くできなかった。

周りのりんごあめは白い目で見た。


あおりんごあめは話す事ができなかった。

言葉が上手く出てこなかった。

話を聞いて貰えたことがなかった。

あおりんごあめは周りのりんごあめが嫌いだった。


あおりんごあめは人の優しさが嫌いだった。

受け入れるのがとても困難だった。

あおりんごあめは子供っぽいと空から言われた。

あおりんごあめは決めつける空が嫌いだった。

あおりんごあめは常に憎悪を抱えていた。

苦しそうだった。


あおりんごあめは笑うのが下手だった。

表情が無かった。




そう思っていただけかもしれない。

上手く笑えないで困っていたのを知ったのは

あおりんごあめが腐った後だった。











それなりの時が経った。

あおりんごあめは変われなかった。

時間が経ったけど変わらなかった。

時間が解決できるものじゃないと感じた。


代わりに あおりんごあめは腐ってしまった。

腐敗した。

変わることなく腐敗した。

虚しく終わって消え去った。









あおりんごあめはお人好しだった。

周りと話したい、笑ってみたいと考え

悩みを抱え込んでいた。

あおりんごあめは話せた事がなかった。

笑えもしなかった。

手段がなかった。


りんごあめは常に

異色のあおりんごあめに白い目を向けた。

あおりんごあめは 頼る相手が居なかった。

あおりんごあめは周りに誤解されて生きてきた。

結局、なにも上手くいかなくなった。

優しさを受け入れられなくなった。

そしてそのまま腐った。



あおりんごあめが腐った所に赤い花が咲いた。

「あおりんごあめ」に「赤い花」。

その後の話、

これはあおりんごあめの本当の心を表しているのかもしれないと

周囲は口々に言った。


この話は尚、

時間に殺されることなく語り継がれている。

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あおりんごあめ わたあめ @wata_me6

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