第7話・鑑定
「では始めますよ」
低い声で男性が俺に言った。
「お願いします」と俺は言い
心の中で祈った。
どうか、ちゃんと
鑑定人が、ポーション瓶を鑑定石の上にのせる。
淡く緑に光った。
20本全て同じように行い、緑に光ったことを確認し、
次は、魔力回復ポーションも同じように鑑定石の上にのせた。
俺は心の中で何度も念じた。
頼むぞ! 出来ていてくれ! と。
そして20本とも今度は紫色に光った。
「間違いありません。確かに回復ポーションと、魔力回復ポーションです」
「なかなかの高品質のようですよ」
鑑定人は笑顔で俺に言った。
よっしゃーーーーーー!
俺は心の中でガッツポーズをした。
鑑定人は紙に自分の名前をサインし、そして空欄にAと大きく書いて俺に渡した。
「この紙をこの部屋を出て先程のカウンターに出してください。このポーションは全て買取しますか? それならばこのまま私がお預かりしますよ?」
「はいお願いします!」
俺が答えると、その鑑定人さんは笑顔で、もう一枚の紙に
回復ポーション 20ランクA
魔力回復ポーション 20ランクA
書き込みサインをして俺に渡してくれた。
「これが預かり証になります。ご確認ください。間違えがなければ、ここにサインを」
俺はサインをして、鑑定人さんにお礼を言い部屋をでた。
そして言われた通り先程のカウンターに、2枚の紙を持って並んだ。
俺の順番が来た。
「アレックスさんお待たせしました」
先程のお姉さんの前に立ち、2枚の紙を渡した。
「あら? すべてAランク! 凄いじゃない!」
少しびっくりした様子でお姉さんは僕を見つめた。
奥にいる職員さんもすこしザワザワしている様子だ。
ん? そんなにAランクのポーションって珍しいのか?
俺は、前いたパーティー『暁』の時、狩りに行く際は冒険者ギルドでポーションはよく買っていたから大体の値段は知っていた。
初級ポーションが
1本300から500ペニー
中級ポーションだと
1本700から1000ペニー
上級だと
1本2000から3000ペニーぐらいで売られていた。
俺達は僧侶のマルセルがいた為、ポーションを買う場合は一番安いポーションしか買ったことがなかったしなぁ。それにパーティー資金もそんなになかったし……
Aランクだと、どのくらいなんだろう? 中級とかだったらいいのになぁ……
頭の中で色々考えていたら、
先日お世話になった男性職員がやってきた。
「やぁアレックスくん、この前ぶりだね」
男性は笑顔でこちらにやってきた。
「先日はお世話になりました」
と挨拶すると、
「今日はポーションだと聞いたが、よかったら中へどうぞ」
隣のドアを開けて案内された。
言われるがまま、俺は後をついて行く。
階段の前まで行き2階へと案内された。
「ここは?」
「ああ、狭いけど、どうぞ。私の仕事部屋だ」
『ギルドマスター室』
ドアにプレートが掛けられていた。
え? この人ってギルマスだったのか?
「どうぞ」と案内され、俺は中に入る。
「座ってくれて構わないよ」
「あ、自己紹介がまだだったね。俺はこの商業ギルドを任されている、アルバードだ。そして、そこに立っているのが、君の担当になる受付嬢の『アリサ』くんだ」
「え? 俺の担当?」
「ああ、アリサくんを君専属につけることにしたから、今度からは直接個室のカウンターをたずねて欲しい」
「へ?」
俺は突然の申し出に素っ頓狂な声をあげてしまった。
ギルド嬢の専属が付くのって、特別な依頼者か、大商人とかの大口取引をする人って聞いたが……
「これが、君のギルド証になる」
それは俺みたいに底辺な庶民が目にすることが滅多にない通称「ゴールドカード」と冒険者達の間で言われているギルドカードだった。
「え? これを俺に?」
「ああ、名前が間違っていないか確認してくれるかい?」
名前を見ると俺の名前「アレックス」と書かれてあった。
「この横のCってのは?」
「ああ、本当はBでも君なら良かったんだけど、いきなりBランクってわけにもいかないから、Cにさせてもらったよ」
「まぁ君なら直ぐにBランク、Aランクにだって昇格は夢じゃないだろうから、これからもしっかりポーションを納品してくれたまえ」
「は? えええ?」
普通ギルドランクってEから始まるんじゃないのか?
いきなりC?
頭の中で?? がいっぱい飛んでいた俺にギルマスは、
「この前の大量の木材の納品でDランクのポイントはじゅうぶん満たしていたからね」
と笑顔で言った。
なるほど……
「それに今回の良質なポーションの納品だ。じゅうぶんCランクを名乗れるだけの実績だよ」
笑顔で褒められた。
そうか…… それならまぁ……
「ところで……俺が作ったポーションってこれ中級ポーションぐらいは、いきそうです?」
「え? 中級?」
ギルマスは驚いた表情を俺に向けた。
あ、やっぱり厚かましいですよね。
初めてポーション作ったような俺が中級ポーションなんて……
「何言ってるんだい? 君の作ったポーションはすべて最高ランクの上級ポーションだよ」
は?
今なんていった??
上級ポーション??
「え?」
あまりの衝撃発言に俺は絶句した……
「とても良い状態だった。これからもよろしく頼むよ。アレックスくん」
笑顔で握手を俺はギルマスに求められた……
じょ、 じょう 上級ポーション?
俺が?
えええええ?
上級回復ポーションって1本2000ペニーから3000ペニーぐらいだよなあ。
上級魔力回復ポーションって確か1本4000ペニーから6000ペニーはしたはず……
これ両方で買い取り値いくらになるんだろ?
「では早速こちらを」
アリサさんが紙を俺に渡した。
!
ゼロの数が……
上級回復ポーション
2500ペニー×20 50000ペニー
上級魔力回復ポーション
5000ペニー×20 100000ペニー
合わせて150000ペニーと書かれていた。
「その金額でよろしければサインをお願いします」
そうにっこり微笑んでアリサさんが言った。
150000ペニー???
これ作るの1時間もかかってないぞ?
それに薬草の依頼代金だって24000ペニー支払っただけだ
材料代を引いたとしてもざっと120000ペニーの儲け?
すご!
俺はあまりの凄さに手がすこし震え気味になったのを誤魔化しながら、受け取りにサインした。
「ではこちらがお金になります」
布袋の中に入ったお金をアリサさんが俺に渡してくれた。
中身を確認するよう言われたが、俺はあまりの衝撃に、頭が真っ白になり、よくわからないまま数えた感じで? 袋をそのまま閉じてしまった。
「では、またお願いしますね」
笑顔でアリサさんとギルマスに見送られて商業ギルドを後にした。
俺はその後どうやって家に帰ったのかよくわからないぐらい、フラフラになりながら家に辿り着いたのだった。
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