第4話・そうだポーションを作ろう!
全ての木材を運びだし、商業ギルドで手数料を引いたお金を貰った。
思っていた以上の金額を受け取ることが出来て、俺はちょっとビックリした。
何の才能もない俺が、こんなに大金を手にすることができる日が来るなんて。
思いもしなかった。
あの日、幼馴染だと、仲間だと思っていた、あいつらにパーティーを追い出され、明日からどうやって生きて行こうかと悩んでいた俺にとって、この目の前にあるお金が、希望のお金だった。
「にしても、水の子かぁ……凄い力だなぁ……」
「でも、この力はみんなの為に使うようにって確か言われたよなぁ。みんなの為にって……? 一体何をすればいいんだろう?」
「困っている人を助ける? うーーん。困っている人って言っても『困ってますか?』って みんなに聞いて周るわけにいかないし……どうすりゃいいんだろ……」
「水を使って、困っている人を助ける……うーん難しいなぁ困っている人が沢山いるところとなると、病院とか?」
「そうだ! 水を使ってできることといえば、あれだ!」
「ポーションだ!」
「あれ、俺にも作れないかなあ? でもポーションってどうやって作るんだけっけ? 図書館にでも行ってみるか」
──そして今、俺は町の図書館に来ている。
受付のお姉さんにポーションのつくり方を書いてある本がないか? 聞いてみたら
なんとあったのだ!
「ふむふむ。まずは薬草がいるんだなぁ。それを潰して、煮詰めた液を絞る……」
「なるほどな。薬草を手に入れないとなぁ」
必要な薬草を俺はメモして帰った。
「でもこの薬草って何処で手にいれるんだ? そう言えば冒険者ギルドの掲示板に薬草採取の募集が出てたなぁ。お願いしてみるか」
「あまり冒険者ギルドには行きたくないんだけどなぁ……まあ、昼間のこの時間なら、あいつらに顔合わせることもないだろうし……行ってみるか」
独り言をブツブツ呟きながら、図書館を後にした。
冒険者ギルドについた俺は、ちょっと重い気持ちだったが、勇気を振り絞ってドアを開けた。
「あら、久しぶり!」
受付には以前からお世話になっていた、ポニーテールがよく似合う受付嬢の「コニー」さんがいた。
「ご無沙汰しております。コニーさん」
「そういえばアレックスさんって、ブラッドさんのパーティー『暁』を抜けたんですってねぇ?」
「えぇまあ……」
「コニー! 個人のことに首を突っ込むのはルール違反よ!」
隣に座る受付孃のしっかり者で美人の「リオン」さんが、コニーさんを睨んだ。
「アレックスさん、今日はどういったご用件ですか?」
優しく、そしてハキハキとした言葉でリオンさんが俺に聞いた。
「ちょっとー、リオン! アレックスさんは私が担当しようと思ってたのにぃ……」
「何言ってるの? 交代でしようって言ったのアナタでしょう? 次のお客が来たら、私に任せた! って休憩しようと言っていたのはアナタのほうじゃないの」
「そうだけど、アレックスさんだったし……」
「何それ?」
「だって、他の冒険者は横柄だったり、しつこく食事に誘ってきたり……そんな人が多いのに、アレックスさんは、いつも私達職員にも腰が低く話しやすいし。依頼料や報酬についても文句を言うことは全くないし、だからアレックスさんなら私にかわってよ! 次来た人リオンに任せるから!」
「何なのよ。その理由…… もう……」
「やったー! アレックスさん、こっち、こっち」
二人のやり取りを目を丸くして聞いていた俺は、半ば強引にコニーさんのカウンター前に移動させられていた。
「コニーさん。ギルド長が呼んでましたよ? 急ぎで来るようにと」
後ろから男性職員がコニーさんを探しにきた。
「えぇーーせっかく、アレックスさんの相手できると思ったのに……」
「はい、さっさと行ってらっしゃい」
リオンさんに言われ渋々と席を立つコニーさん。
「残念だけど仕方ないわ。今度アレックスさん食事にでも行きましょうね!」
そう言って笑顔で去って行った。
「もう、あの子ったらしょうがない子ねぇ。ごめんなさいねアレックスさん」
リオンさんが申し訳なさそうに謝る。
「いえいえ。いつも親切にしていただいて……」
「ところで、アレックスさん今日来た用件は?」
あ! 忘れるとこだった!
「実は、薬草採取の依頼をお願いしたくて」
「薬草採取ですか? それなら、直ぐに依頼を出せますよ。出しますか?」
「はい。お願いします!」
「では、この紙に必要な薬草の名前と数を書いて出してください。あとは、報酬金額の設定です」
「報酬金額って、いくらぐらいが相場なんですかねぇ?」
「ちょっと薬草の名前を書いた紙を見せてもらっても?」
「はい。お願いします」
俺はリオンさんに先程書いた紙を渡した。
「ふむふむ。そうねぇ、この量でこの薬草だと、20000ペニーぐらいが妥当じゃないかしら? 大体一般的な薬草100本が10000ペニーぐらいと考えたらいいわ。だから、アレックスさんのは2種類だから20000ペニーが妥当だと思うわよ」
「そうですか。ありがとうございます。では、すこしおまけして23000ペニーで依頼して貰えますか?」
「わかりました。その金額なら直ぐに見つかると思いますよ」
笑顔でリオンさんが言った。
俺は無事、薬草の依頼を出すことが出来て、安心してギルドを後にした。
帰りに図書館の本に書いてあった、ポーションを作るために必要な材料を買って帰った。
そして、本屋によって「ポーションのつくり方」の本を見つけ、それも購入した。
ちょっと高かったけど、先日木材を売ったお金がまだ結構あったので、俺は思いきって買うことにしたのだ。
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