第45話

リハーサルが終了した約10分後、本番用の準備が完全に終わった

「本番、5分前です。」

「中弓さん」

「何でしょうか?」

リハーサルの時もずっと片手間にサポートしてくれた川里さんが近寄ってくる

「確か、テレビ初ですよね?」

「そうなんですよ...今からでも心臓バックバクです」

「そういう時に効く呼吸法があるんですけどやります?」

「そんなものがあるんですか?ぜひ聞きたいです」

「まず、ゆっくり息を吸い込みます、そして十分に空気を吸ったら、息をとめて、その空気が体に循環させるというイメージを頭の中で作るんです、最後にイメージができたらゆっくりと息を吐きだします....こんな感じです」

「成程...」

「私は緊張したらたまにやるんです、だいぶ力が抜けますよ」

「分かりました、試してみます」

・・・

「本番10秒前、9、8、7、6、5、4、3......」

スタッフの方が手を挙げる、すると...

「皆さん、こんにちは、産国テレビ特設企画『新人Vtuberの生態に迫る』の時間が今週もやってきました、今回も司会を務めます、北川、そして高校生アイドルとして広くご活躍されている坂本さん、そして若手大物Vtuberの坂道さんを、特別ゲストで今回は初配信であの配信webのサーバーを落としたVtuberとして日本で、いや世界で今、大注目されている、松杉の人をお招きしました」

「どうも~」

「よろしくお願いします」

「よろしくお願いしま~す」

「はい!ということで今回は我々、いつもの三人衆で有名人にインタビューしていくという企画なんですけども......」

順調に番組の各コーナーが進んでいった。

そして最後に少し突っ込んだ質問を三人が一人一つずつ前もって決めておいて質問するというコーナーに移った。

番組の前に渡された台本の中に途中で書いたようにねじ込まれていたコーナーであったようで質問の内容は完全に白紙だった。

さっきのリハーサルで北川さんから聞いたのは最後のコーナーの時だった

(しかしここでいきなりアドリブで質問を考えろと言われても....でもここで引いたら男としてダサすぎる...さっき教えてもらった呼吸法で...てかこれってもしかして俺を落ち着かせるために....やっぱり川里さんは神であった...)



「はい、では最初なので、無難にいきましょうか.......中弓さんはなんでVtuberになろうと思ったんですか?」

「えーっと、自分の趣味のためでしょうか...それと母親がそれ関係の仕事でずっと働いていたのを小さいころから見ていて、強い憧れを抱いたからというのもあります。」

(なんとか、答えられたか?...よかった....Vになった時にそれらしい理由を考えておいて)

「では、次に坂本さん、お願いします!」

「はい、松杉さん、貴方は女性をどう思っていますか?」

「え?」

「「え?坂本さん?」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る