第42話
~産国局~
「緊張する?」
「これで緊張しない方がおかしくないですか?」
「あら?天下の高校生アイドルさんも緊張するときなんてあるのね」
「そんなこと言って誰よりも緊張してるのはこれからインタビューする北川さんじゃないですか?」
「そそそ....そんあ...そんなことないよ」
「めちゃくちゃ緊張してるじゃないですか!」
「当たり前でしょ?松杉様は私たちの光なのよ?こんな食って寝て働いてっていう糞つまらない人生に光をくれた方なの!産国局に入ったら将来安定!っていうし男性にも触れ合える機会があるから入ったけどどの男性もお金の話と自慢話ばっかり、どれだけ幻滅したと思ってるの?」
「そんな世の中の男性全てが白馬の王子様だったら苦労しませんよ....というかさっき、ばっかりって言ってましたけど...全部じゃないですか、正直?」
「...はぁ...そうね、でも私は松杉様は絶対に紳士的で素晴らしい方だと思ってるわ」
「ふっ」
「何よ?」
「まだそんな幻想を抱いてるんですか?」
「あなた、聞いたことないなんて言わせないわよ?あの歌声を」
「声なんて今のボイチェンでいくらでも変えれますよ」
「だから何よ?」
「要するに、どんなに声が良くて紳士的そうだなっていう雰囲気があっても、それはただの雰囲気です...声だけで人間の性格なんて1mmもわかりませんよ」
「そんなことないわよ!松杉様はね、紳士的で優しくて完璧なジェントルマンなんだから!」
「はー....それが幻想にならないように祈っておきますね」
「貴方、もしかして嫌いなの?」
「..........嫌いですよ!男性だけでちやほやされて!私は何千何万、はては何百万っていうオーディションをへてここにいるんですよ!?それなのに....それなのに男ってだけで....低音ボイスってだけで...そんな理由で人気をとる奴なんてだいっきらいです!....今日のインタビューはその化けの皮を剝がしに来ました...マネージャーさんにお願いして...」
「........すごい執念ね」
「私には..........いえ、何でもありません」
「そう、貴方がそういうなら止めないけど」
「はい」
「そんな思いがあるなら変なところでつまずかないことね」
「何ですか急に」
「んー?そうだな.....先輩からの助言?女の勘ってやつ?」
「なんですか、それ、ふふ」
「あ!笑ったな!ほれ」こちょこちょこちょ
「...」
「あれ?効かない?」
「....ふふ...」
「効いてんのかい!」
「...あのお二方、そろそろ中弓様、来られます」
「行きましょうか」
「ええ」
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