第34話
………………
「浩二様、おはようございます」
「うぅ~ん....あと五分だけ...むにゃむにゃ」
(何ですか、この可愛すぎる生物は?私の理性をどんどん削ろうとしているのでしょうか....)
「浩二様、五分後にまた起こしに行きますねと申し上げたいところなのですが、生活リズムを少しでも崩してしまうとその後の生活にどうしても支障が出ると考えられますので起きていただければ...」
「夕夏さん、ごめんね、すぐ起きるよ........って、夕夏さん!?」
「お久しぶりです、浩二様、フランスから舞い戻ってましりました」
「久しぶり!フランスは大丈夫だった?」
「はい!、久しぶりに羽を伸ばす機会をもらってあり難い限りです」
「これからも夕夏さんにはメイドとして中弓家を支えてもらいたいからね!改めてよろしくね!」
(このお言葉を承るためにメイド業をやってきたといっても過言ではないわ....なに、この天にも昇ってしまいそうな優しさは....)
「そんなお言葉をいただけるだけで....もう....ありがとうございます、これからも精進してまいります!」
「なんか、今日の序盤からこんな感じだけど...その、ご飯ってできてる?」
「もちろん、ご飯は作り終わっています!、今日の献立は明日香様が考えなされました」
「そうなんだ!了解、すぐに顔とか洗って下に行くね」
「かしこまりました、お待ちしております」
・・・・・・・
「おはよう、こうちゃん!」
「おはよう、こうちゃん!」
「お姉ちゃん、お母さん、おはよう!」
「やっぱり、こうちゃんに挨拶をするとやっと今日一日が始まったって気がするわ...」
「本当にそうだね!...それでこうちゃん、今日は私が作ってみたんだけど...朝だから少し味は薄めに作ったんだ~、どうかな?」
「すごくおいしいよ!特にこのお味噌汁が熱々だけど塩加減がばっちりで最高!」
「はぅぅぅ....お母さん...」
「なぁに?」
「私、もう今日はこの気持ちだけを維持したいから大学行きたくない...」
「はぁ...気持ちは痛いほどわかるけど行ってきなさい!」
「えぇぇ...」
「そしたら夕飯は私と一緒に作る?」
「いいの?」
「今日だけよ」
「またおいしいって言ってもらえるように研究しないと...」
その日の東都大学のバカでかい図書館のほぼすべての料理雑誌を読み漁っている明日香がいてそれが大学内でちょっとした話題になっていたのはまた別のお話。
「こうちゃん」
「ん?何?」
「こうちゃんに一つ、提案があるんだけど...」
「どうしたの?」
「テレビに出てみない?」
「えぇぇぇぇ!!!それはまたどうして?」
「多分、無自覚だと思うんだけど....こうちゃんってどれくらい有名だと思う?」
(これはまた結構恥ずかしい質問が来たな...確かに事務所の人たちにはよくしてもらったり、配信にもかなりの人が来てるからそこそこ知名度はあると思うしな...っていう鈍感ムーブを期待したみんな、すまんが俺は転移者なんだ、もしかしたら日本規模でばずってるかもしれないし....ここは調子に乗って...)
「日本規模でとか.....ってなわけないか!」
「半分正解で半分違うかな...」
「え?」
「規模がでかいのは正解!ただ世界規模で...って感じかな」
「え....えぇえええええ」
「まだ情報機器とかを持っていないところとかの人達はさすがに知らないと思うけど多分こうちゃんは時の人だよ」
「こうちゃんって登録者とか見てる?」
「いや、ちょっと怖くて見れてない...」
「え~っと...また増えてる....登録者は一億2000万人...大体ひと昔前の日本と同じくらい、あとフォロワー数に関してはもうちょっとで11億かな」
「すこし理解できない......」
「私たちはもう麻痺しきってるから...もう、ね?」
「確かに」
「....一回考えないことにするね」
「その方がいいかもしれないわね...それでそんな感じなんだけど初めてのメディア進出、正直、今頃かいって思うけど...一回節目を作りたいし...」
「あ、うん、わかったよ....」
「ちょ、ちょっと休憩しましょうか...」
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