人から首を絞められることを生業にしている少年と、そのそばに憑いている死神の物語。
濃厚な死の匂いがぷんぷん漂う、シリアスな現代もののドラマです。
そしてタグにもあるとおりボーイズラブ的なお話。
死神はいるわ首締められまくるわ、果ては暴力団のやってる個室DVD店が舞台だわ、と、ひたすらダークでアンダーグラウンドな雰囲気がたまりません。
いろいろどん詰まりのロクでもない世界と、そこに生きる(そして死ぬ・死んでいる)男たち。良い……。
魅力はなんといってもやはり登場人物。
まず「おっさんから首を絞められることを生業にしている少年」って時点でいろいろたまらないものがあるのですけれど、単に置かれた境遇や属性的な部分にとどまらず、彼個人の存在そのものが強烈な魅力を放っているところが大好きです。
なんというか、会話や振る舞いの節々に見える〝彼そのもの〟の質感のような。
この質感、主人公である死神にも同様のことが言えて、そのふたりの会話というかその距離感みたいなものが、もうびっくりするくらいゴリゴリ胸に響きました。
回想に回想が入れ子になって、再び現代へと戻る構成も好き。
わりと変拍子的なはずなのに自然に読まされちゃうこの鮮やかさ。
いろいろと好きなところがいっぱいあるお話でした。