第3話 最悪の出会い

「誰?他の病棟の医師?もしかしてあの噂の転任してきた医師かしら?」


美里ミサトは思う。医師は物の在りかを尋ねてきた。噂話を聞いてしまったので、会う前から良い印象を持っていない。美里ミサトはつっけんどんな態度と感情のない声で言葉を返す。


話終えると、気持ちが態度に出てしまった事を反省しながら、仕事を続ける。


手を動かしながら尋ねてきた男の様子を伺う。多分、噂の医師だ。長身ですらりとしたイケメン。物腰もとても柔らかだった。


なるほど、各病棟のナースが魔の手に堕ちそうだわ。事実か否かわからない噂話に翻弄されながら1日が過ぎて行く。


まあ兎にも角にも私には関わりのないこと。しっかり距離をとろう。噂話が本当なら関わらないにこしたことはない。とりあえず今日の態度で私は良い印象を持たれていない。スルーできそうだ。彼の本当の人となりがわかるまではエリア外から様子見できる。

 

午後の勤務を終え時間を確認する。18時だ。残業がなくて良かった。


「お先に失礼します。」


着替えを済ませ、外に出る。夕陽が眩しい。それにしても今日も激務だった。早く帰宅して自分にご褒美をあげよう。美里ミサトは足早に帰宅の途に着いた。

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