第2話 高慢な女

34歳の颯斗ハヤトは大学病院から派遣され、ある町の総合病院に赴任することになった。


「この病院は激務になりそうだ。救急搬送の患者を一人も断らないと聞く。睡眠時間も確保できそうにないな。」


そう思いながら医局へ向かう。部長や同僚に軽く挨拶をしてエレベーターで病棟に向かう。カンファレンスルームへ。バタバタしている。挨拶どころか看護士はみな出払っていて年配のナースが一人。士長である。


挨拶を済ませまずは勤務始めの事務作業をする。部長や士長に一通り説明を受けやり始めたはいいが全く持って物の在りかがわからない。散乱気味でとんでもない忙しさが伝わってくる。一つずつこなしていこう。いつもより時間をかけて新入社員としての事務作業を終え割り振られた患者の電子カルテを見ていた。


勤務初日なので当たり前だが相変わらずどこに物があるのかわからない。どこにあるんだ。時間がもったいない。誰かに聞いた方が早い。


そんな時若い女性看護士がカンファレンスルームに戻ってきた。


「ちょっといいですか?」


颯斗ハヤトが声をかけるとその看護士は驚くほど冷たい態度で答える。なんて高慢な女だ。それが美里ミサトとの出会いだった。

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