恒例のクリスマス
2016年 クリスマス
葛西家では毎年恒例、隼瀬の提案による盛大なクリスマスパーティが準備されていた。
「陽葵、サラダできたけん持ってって」
「はーい、わぁなんかだっご綺麗なサラダね」
「だろ?食べるのもったいないけん食べんとか言うなよ」
「それパパじゃないと?」
「あら、バレた?」
「だってこの家で男の子はパパだけだし」
可愛らしい飾り付けをされた家の中を見て、本当にうちのパパって典型的な男の子しとるなと思う陽葵である。して、陽葵がお手伝いしているのを見て自分も何かしようとする芳美。
「ぱぱ、わたしもおてちゅだいしゅる」
「おお、ありがとう、ならねえ、このコップば机に置いてきて」
「はぁい!」
陽葵と芳美にも手伝ってもらいつつ、あらかた準備も整ったところへ、予約していたケーキを取りに行っていた冬未が帰ってくる。
「ただいまー!おお、よか匂いのしよっ」
「おかえり、今年はチキンじゃなくて本物のターキーだけんね」
「ほう、それにローストビーフにクリスマス仕様の飾り付けサラダに・・・・・・これ全部してくれたっだろ?さすが隼瀬」
「本当ならケーキも家で焼こうか思いよったばってん、さすがに全部すんならそぎゃん時間取れんどなち思てケーキ屋さんに予約しとったったい」
「よかよか、ただでさえいつもしてもろとっとだけん、あ、芳美こら」
「ほら芳美、ケーキは後からね。ねーねと準備するよー」
待ちきれないのかケーキの箱を覗こうとする芳美を陽葵が連れていく。で、冬未も帰ってきて家族揃ったところで、隼瀬が音頭を取りパーティが始まる。
「乾杯!・・・・・・うわ、姉ちゃんにもろたアルマンドの白、やっぱうみゃあね。違いとかあんまわからんけど」
「うん、やっぱ高い酒って違うね、まあ安い酒ばっか飲んどっけんようわからんけど」
そして、自分達だけ高い物というのもあれなので、子供達にも少しお高いシャンメリーを用意していた夫婦。
「これパパとママ飲みよるお酒と同じ感じばってんお酒じゃないと?」
「うん、子供でも飲めるジュースよ」
「まあ子供にお酒飲ませる描写とか書けんもんね」
「陽葵までメタい事言うごんなって。ほんで、味はどぎゃん?」
「んー、なんかよくわからんけど美味しい。ほら、芳美も飲んでみ」
「うん、なんかわからんけどおいしい」
結局、誰も何か分からんけど美味しいものは美味しいとなる家族である。して、筆者もこの暑いのになんでクリスマスの話なんか書いてんだと自問してきたが、そんな事はどうでもいいので話を進めたいと思う。冬未も隼瀬も昔から食べる量は多い方で、その2人の子である陽葵も芳美もやはり食欲は旺盛で、大量に用意された料理もすぐに片付き、隼瀬がどうせ皆食べるしと予約した大きめのケーキを皆で食べる。
「あー芳美、サンタさん頭からいったな」
「どうせたぶっとだけんいっしょたい」
「ばってんなんかこう、ほら、かわいそかちゅうか」
「食ぶっためにあっとだけんよかたい、隼瀬な昔からなんかそぎゃんと気にすんね」
「だってせっかくケーキ屋さんも可愛くしてくれとっとに・・・・・・」
「ただのお菓子たい」
「んー、やっぱ女ばっかだと僕のこの気持ちな分からんか」
「ははは、まあそぎゃん拗ねんなって。私の分のいちごも食べてよかけん」
「むぅ」
むすっとしながらも、冬未にあーんしてもらったいちごを頬張る隼瀬であった。
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