第66話 新たなるステージへ その1
昨日までいつも通り配信をしていた翌日、いきなりユメノミライの公式のツイッターにて、九重ホムラのユメノミライ脱退が告げられた。
それと同時に俺は九重ホムラとしての更新を一斉にストップさせた。
そしてこの脱退関係については、ハジメや姫ちゃん達などの仲のいいvtuberはもちろん、同じ事務所に長年勤めて来たキラメ達、誰1人にも話さずに結構した為、公式のツイートを見た知り合いは一斉に俺に連絡を入れて来たが、俺は申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらも、その連絡を全て無視した。
その結果その公式のツイートは拡散に拡散されて、九重ホムラという名は1夜にして、過去類を見ない勢いで広まった。
それからタメ期間として1日置いてから、俺は動き始めた。
◯
「あ、あーてすてすマイクテストっと皆んな聞こえてるか!ホムラビトの皆んな!」
そう俺の一言から始まった配信は、いつもとは違う背景に、いつもと違うBGMそして何より、そこには九重ホムラの姿は無かった。
コメント
:何やってんだよお前!
:ユメノミライ脱退ってマジ?
二階堂ハジメ:どういう事なんだ?
:説明はよ
meme:がんばれ〜
:vtuber辞めたのかと思った
配信を開始して早々コメント欄は今までの配信とは比べ物にならないほど早く流れ、そこにはちょこちょこと見知った名前が流れていた。
それに俺の作戦通り例の運営のツイートで、認知度を上げに上げまくったおかげで、一時は日本のトレンド1位になったり世界のトレンドに入ったりもした。
そのおかげか今俺の配信の同接数は驚異の10万人を突破しており、まさかここまで見に来てくれる人がいるとは思っていなかったので少し驚いた。
「いやー、今日は何やらいつもの……10?いや100倍ぐらい人が見に来てくれてるね。一体何があったのかな?」
そんな風に俺が惚けているとコメント欄は、ユメノミライ脱退の文字で埋め尽くされていた。
俺はそのコメントを見て内心ニヤニヤしていたが、そんなことはお首にも出さず、コメントには気が付かなかったふりをして話を続けた。
「あ、そうか!今日は俺の初の新衣装公開だから皆んな見に来てくれたんだな!そうだよな〜長かったよな、なんせ俺が新衣装貰うのにかかったのって、4年だぜ4年!やばく無いか?ほぼvtuberの歴史と同じ年月新衣装なしだぜ」
コメント
:それで何で脱退したの?
:そういやそっか
:あれ?ホムラ新衣装なかったっけ?
御旅屋ノマド:ボクでさえ衣装何個かあるのにホムラ先輩はなかったんスね
:脱退の件まだ?
近所カネコ:ワタクシは100着は服を持ってますワ〜
うわ出た問題児!
にしてもホントそうだよな、ノマドなんてすでに3期生に配信回数抜かされてんのに、その癖して何個か衣装持ってるし、金城に関してはなんか1ヶ月間毎日新衣装お披露目配信してた時期あったし、まぁ金の力なんだろうな〜
まぁこれからの俺は何者にも縛られないから、自分の好きなタイミングで何着でも新衣装依頼出来るしいっか。
……いや流石に100着とかアホな数は無理だぞ
「まぁという訳で早速だけど、新衣装まずは全体のシルエットから公開します!はい、ドーン!」
そう言って公開されたシルエットは、何やらゴワゴワとしており、特に俺の左肩辺りには結構大きめの何かが乗っていた。
シルエットを公開するとコメント欄は盛り上がりを見せた。
「それじゃあこれ以上引っ張っても意味無いので、もう新衣装を公開したいと思います!」
そう宣言したのと同時に先程まで出ていたシルエットから、影が取れるとそこから新衣装姿の九重ホムラが現れた。
その姿は今までの制服姿からガラリと変わり、白を基調とした礼服姿で、その所々に炎上を思わせる様に炎の様な柄が混ぜ込まれており、シルエットでも目立っていた左肩のモコモコの正体は、確かファーだったかな?それが付いた真っ赤なマントだった。
他にもこの衣装には色々と小ネタが隠れており、赤の肩掛けマントにはユメノミライ学園の柄が金色で入っているし、胸ポケットにはバーチャルキャバクラで使ったサングラスがかけられたりと、memeママに頼んで色々と小ネタを仕込んでもらったのだ。
「どうだお前ら!かっこいいだろ!この新衣装!」
コメント
:かっこいい!
:4年ぶりの新衣装のせいでホムラがイケメンになってる
:meme先生ありがとう!
:脱退の話は?
:新衣装でも炎上の名残出てて草
コメント欄を見る限りはここまでは概ね新衣装は好評だな。
だがここからが問題だ。
実はmemeママからこの衣装に乗せられなかった要素として、色々と差分を渡されているのだが、これがというよりかはその中の一つがマジでヤバい。
それがみんなに受け入れられるか……
そんなこんなで不安な気持ちを心に、俺はリスナーに差分がある事を説明して、その差分の中の幾つかを公開し始めた。
「それじゃあまず1つ目だけど、これはお前が喜ぶやつだぞ」
そう言って差分を反映させるとそこには、俺の頭の上であくびをする大福に、右肩から顔を見せるグレイの姿があった。
「という訳でうちのツイッターでの人気者!大福とグレイの2匹が俺のことを助けにこんな所までやって来てくれました!」
俺がそう言うと後ろで寝ていたグレイと大福が、元気な返事をしながらこちらの方へと近づいて来た。
「うわーごめんな。起こしちゃったよな」
俺は2匹に謝りながら、俺の元までやって来たグレイと、いつの間にか膝の上に陣取っている大福の事を撫でながら謝った。
コメント
:グレイくんキター!!!
:大福ちゃんキター!!
:マジか!?
meme:グレイくんと大福ちゃんを再現するためにいっぱい画像をもらった私は勝ち組
:かわいい
流石はグレイと大福だ、俺の新衣装公開の時よりコメントの動きが爆速だぜ!
そんな人気者な2匹に少し嫉妬しながらも、俺は次に待ち構えている、何故これを描いた!と言いたい差分?いやここまでやったらこれも新衣装か?
そんな何とも言えないマジでどうしてこれを描いたのか、謎な衣装の準備した。
「それじゃあグレイと大福で盛り上がってもらってる所悪いんですが、次の差分と言ってもいいか分からない問題作の紹介に移りたいと思います。それがこれです……」
そう言って配信に映し出されたのは、今までの衣装の面影を一切無くし、何なら九重ホムラなのかも謎な、日曜朝にやっていそうな戦隊レッドが、いきなり配信画面に現れた、
「…………と言う訳で最後の衣装は炎上戦隊燃えるジャーのコスチュームです。」
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