第4章 そうだ実家へ行こう
第35話 二階堂ハジメそれは炎の様な熱き男だった その1
『おひさホムラ!お前めちゃくちゃ燃えてるけどどしたw』
つい最近までアンダーライブの4周年記念イベントで、あちこち行っていたりしたせいで、連絡が取れていなかったハジメから久しぶりの連絡が入って来た。
『久しぶり。それと燃えてるのはいつもの事だから気にしなくていいぞ。それよりもう大丈夫なのか?』
向こうはこちらのライブの2週間前ほどにイベント自体は終わっていたが、その後も4周年ということでイベントが終わっても、忙しい日々を送っていたそうだ。
『ああ、ようやくひと段落ついてな。そっちもライブで忙しかっただろ?』
『そうだな。……俺以外はな』
『ん?その感じだとホムラはライブ出なかったのか?ネットには最後出たって書いてあったけど』
『もちろん運営から嫌われてる俺は出てないよ。けどその代わり同期の絆はめちゃくちゃ感じたぞ』
『へーどんな風に?』
そう聞かれた俺はライブ映像のネット販売サイトのURLをハジメに送りつけた。
その後も久しぶりの会話でテンションがおかしくなったのか、エンターテイナーがするにはレベルの低すぎるギャグをお互いにしあったり、最近よく見ているオススメの動画や配信などの情報を交換しあった。
そんな中ハジメが話を切り出して来た。
『そういやホムラって確かパソコンぶっ壊して数日間配信出来ないんだっけ?ツイート見たけど』
『そうそう知り合いに見せたら最低でも3日はかかるって言われたわ』
『草』
『草じゃねぇよ!』
『悪い悪いwそれで本題なんだけどさ』
『本題?』
『ホムラってさぁ明日暇?』
◯
そんな雑な感じで誘われて翌日、俺はとあるタワーマンションにやって来ていた。
それも最上階を見ようとすれば首が痛くなるレベルの大きさのだ。
その大きさに俺が呆けていると、そのタワマンの中から1人の男性が手を大きく振りながら出て来た。
その人物こそ昨日の今日で電車を乗り継いで1時間もする距離の場所に、俺を呼び出した張本人である二階堂ハジメその人だった。
タワマンから出て来たハジメは俺の元まで一直線でくると、そのまま俺の耳元で囁いた。
「流石に外でべらべら話すのは危ないから上がってくれ」
ハジメはvtuberとして身バレ的な問題を気にしてくれたのだろうが、いきなり耳元でASMRバリに囁くもんだから、俺は驚きのあまりそこそこ大きな叫び声を上げてしまった。
「うわっ!」
そんな俺の様子を見たハジメは、こちらを見ながら肩をすくめやれやれと言った風なポーズをした。
俺はその様子を見ながら内心誰のせいだと思っていると呟きながらも、ハジメの案内の元ハジメの家へと向かった。
「改めて中に入って来たけどデカいなここ」
「まぁそれなりにするところだからね。ほらホムラこっちこっち」
ハジメの家は外見だけでは無く、きちんと中身もしっかりとしており部屋の広さに驚いていると、俺はハジメにとある場所へと誘導された。
そのとある場所とは……
「台所?」
「ああ」
そこには部屋同様広々とした台所があった。
昨日俺は結構ゴリ押しな感じで今日の予定を入れられた為、ハジメからはオフコラボという事しか聞いておらず、てっきりいつもの様にオフでゲームをするものとばかり思っていた俺は少し疑問に思った。
今日のコラボは何をやるのか?と
「で?ハジメ今日ってさぁ今更だけど何のコラボなの?俺はてっきりゲームだと思ってたんだけど」
俺がそう聞くとハジメは言い訳8割説明2割で話し始めた為、こちらで要約すると今日のコラボは料理作りで、何故それをするかというと4周年イベントの罰ゲームらしい。
だがハジメは料理なんて作った事がなかったから、どうしようかと悩んでいると俺が毎日家族の料理を作っていると話した事を思い出して、半ば強制的に俺を捕まえて料理を教えてもらおうと思い至ったそうだ。
「なるほどな……それで今日は何を作るつもりなんだ?」
俺がそうハジメに聞くと、ハジメは驚いた様な表情をした。
「怒らないのか?」
「怒らないのかって……こんな事では流石にいちいち怒らんて。それで結局何を作るつもりなんだ?」
ハジメよ、よーく思い出してみろ俺は年中炎上してる様なやつだぞ、いちいちこんな事で怒ってたらハゲるわ!
そんな事を内心考えながら俺は調理器具などの確認を始めたのだが、そこで問題が起こった。
「おいハジメ!」
「うわっびっくりした、いきなり大声出すなよ。それでどしたん?」
「これ」
そう言って俺が取り出したのはスプーンやホークにボウルなどの、銀色の食器類だった。
それを見たハジメは何が問題あるのかと首を傾げた。
「それがどうしたんだ?」
そう聞いて来たハジメに少し呆れながら俺は返した。
「いやコレどう見ても反射するだろ」
「あ〜!」
という訳で俺とハジメは配信開始直前で、配信で使う調理道具を買いに行く事になった。
他にも何か買わなければならない物があるかもと思った俺は、色々見て回るついでにハジメに再度今日何を作るかと、その材料をしっかりと用意しているかと確認した結果、ハジメは自信満々にハンバーグを作ると言って冷蔵庫から挽肉を取り出した。
その際軽く冷蔵庫の中身が見えてしまったのだが、冷蔵庫の中にはその挽肉以外は何も入ってなかったのを確認してしまい、俺は内心コレはヤベェと思いながらもハジメの肩をそっと叩き、笑顔でハンバーグに必要な材料とその他必要な道具を書いたメモ帳をハジメに押し付け、ハジメに鞄と財布を取って来させ、そのまま玄関から外へと放り出した。
「痛った!ってどうしたんだホムラ?」
「……ってこい」
「?」
「さっさとそこに書いてあるもんを買ってこいや!」
そう言うと俺は玄関の扉を勢いよくバタンと閉じた。
外からは少し困惑した声で「あれ?ここ俺の家だよな?」と、まさか客人に部屋を追い出されるとは思っていなかったハジメは困惑しながらも、トボトボと俺に支持された食材などをスーパーに買いに行った。
ハジメが買い物に行った事を確認すると、急いで台所へと戻り反射しそうな物は極力別の場所へと移動し、ハジメが戻ってくるまでにカメラのセッティングなどの事前準備を終わらせる様に動き始めた。
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