第36話 二階堂ハジメそれは炎の様な熱き男だった その2

「こんちわ〜!今日は4周年イベントの罰ゲームである、超美麗3D料理配信をしたいと思います!それでは本日俺と一緒に料理をしてくれる先生です」

「どもども昨日急に頼まれました九重ホムラです」

「久しぶりホムラ!1ヶ月ぶりだったっけ?」

「多分そのぐらいだったかな。それとアンダーライブ4周年おめでとうございます」

「あ、どうもどうも。そっちも大型ライブおめでとうございます」


配信開始早々俺とハジメは最近お互いの事務所であった大型企画について祝福しあった。


コメント

:久しぶりのホムハジコラボだ!

:ホムラって料理作れたの?

:ホムラはハジメの料理の腕知ってるのかな?

:久しぶりのコラボ楽しみ!

:ホムラって今叩かれてる人?


今更ながら知らない人もいるだろうから説明すると、超美麗3Dとは現実の体をめちゃくちゃ綺麗な3Dと言い張って配信するvtuberの企画の一つだ。


「それでハジメ久しぶりのコラボだけど、料理って何作るんだ?俺もいつも家族の料理作ってるからある程度は作れるけど、それでも作れるって言ってもそれは一般家庭に出てくる料理ぐらいだけど大丈夫か?」

「ああ、そこら辺は大丈夫!なんたって今日作るのは、子供の大好物でもあるハンバーグだからな!」

「へー、ハンバーグか」

「それもただのハンバーグじゃない!チーズinハンバーグだ!」

「ち、チーズinハンバーグだって!(棒)」


そう棒読みで話した俺だがそれも当然である。元々はハジメが言った通りハンバーグを作ろうかとも思っていたが、流石に男2人で普通のハンバーグを作るだけでは配信が面白くなるかわからなかったので、それならもう少し作るものの難易度を上げて、配信を面白みでは無く凄みで売っていこうとハジメに相談したところ、ハジメは俺の案を聞いてボソッとチーズinハンバーグもいいなと呟いた。


とそんな訳で俺たちはハンバーグからチーズinハンバーグに作るメニューを変更する事にした。


「さて、それじゃあハジメハンバーグを作る前に、まずは下準備を始めましょうか」

「下準備?下準備って何をするんだ?買い物はもう行ったぞ?」

「え!?ハジメお前それマジで言ってんの?」


コメント

:草

:下準備=買い物は草

:ホムラくんとハジメくんの手かっこいい

:www

:草


いきなりあんぽんたんな事を言い出したハジメに下準備の説明を軽くした。


「と言う訳だから、ハジメはまずは玉ねぎをみじん切りにしといてくれ、その間に俺はマカロニサラダでも作っとくから」

「お、おう任せろ!」


そう言ったハジメだったが、俺は下準備の意味すら知らなかったハジメに、みじん切りが出来るのかと少し心配になりながらもマカロニを鍋で茹で始めた。


そして次の瞬間ハジメがいきなり隣で玉ねぎの皮も剥かずに、いきなり包丁を天高く上げるとそのまま勢いよくまな板の上にある玉ねぎに振り下ろした。


「ちょいちょいちょいちょーい!おま!お前!な、なななにしてんだぁ!!!」

「ん?」

「ん?じゃねぇよ!ビックリしたなぁ!」


コメント

:うっわ……

:怖

:コレを真横でやられたホムラの恐怖よ

:草も生えん

:ん?は草www


いきなり横で意味のわからない事をし始めたハジメに俺は恐怖しながらも、俺はハジメから無理やり包丁を取り上げた。


「もしかしてだけどさ……ハジメって料理した事ないのか?」

「え?そうだけど?だから罰ゲームになったんだし」


それを聞いた瞬間マジかコイツと思った。


それからは俺はマカロニサラダを作りながら、ハジメに玉ねぎの皮の剥き方とみじん切りの仕方を教え、その後はハジメの方をちょくちょく確認しながら作業を続けた。


それからハンバーグのタネを作っている途中でハジメがいきなり隠し味と言い出し、どこから取り出したのか1つ200を超える値段のする高級アイスクリームをタネに突っ込もうとし始めた。


「ハジメ待て!」

「え?どうした?」

「え?どうした?じゃねぇよ!何急に変なものを入れようとしてんだよ!」

「おいおいホムラお前知らないのか?ハンバーグにアイスを入れると肉が柔らかくなって上手くなるんだぜ」


そうドヤ顔で言うハジメに俺は呆れながら話した。


「あのなぁハジメ肉を柔らかくするのに使うのはアイスじゃ無くてヨーグルトだ。それとハンバーグは元々柔らかいだろ?」

「え?そうなの?」


そう言ったハジメの顔は先程のドヤ顔とは真逆のアホズラになっていた。


コメント

:草

:アイスは草

:ハンバーグをこれ以上柔らかくするってwww

:クソワロタ

:ホムラって結構料理できるな

:せめてそこはソフトクリームにしろよw


「はぁ……ハジメお前なんと言うか…………凄いな。俺料理でここまで疲れたの初めてだよ」

「えっと……なんかスマン」

「いや大丈夫だ」

「そっか!なら続きを作るか」


その後はマカロニサラダを作り終えた俺とハジメの2人で、タネの中にとろけるチーズを丸めて詰めると、2人で空気抜きを始めた。


その際ハジメがハンバーグのタネをお手玉の様に上に放り投げ、その行為に俺とリスナーでハジメを叱るという、成人男性2人で一体全体何をしているんだと思われる事をやっていた。


「よしコレであとは焼くだけだな」

「おお!あと少しか、意外と時間かかったな」

「ハハハそうだねー」


すでに料理配信は開始してからすでに2時間も経っていた。


そしてあとは焼くだけとなったハンバーグ作りは、初心者にありがちな強火で焼く事をしない様にハジメに言って、俺は前もって炊いておいたご飯を2人分よそったり、マカロニサラダを皿に盛り付けたりと食べる準備をし始めた。


別れる際ハジメがフランベをしてみたいと馬鹿な事を言っていたが、「んなこと出来るか!」と言っておいたので大丈夫だと思っていたのだが……


コメント

:おいおいおいおい

:ホムラ!助けて!

:リアル炎上ワロエナイ

:火柱w

:流石炎上戦隊w

:ホムラ気づいてくれ!


台所の方から「うわっ」と言うハジメの短い悲鳴が聞こえた。


嫌な予感がした俺は配膳の途中だったがそれを放り投げて、急いで台所へと向かった。


そしてそこにはこちらに助ける様な目線を向けてくる、全身が生まれたばかりの子鹿の様にプルプルと震えていて、その手には轟々と炎が燃え盛るフライパンとワインを両手に持ったハジメの姿がそこにあった。


「なぁにやっとるんだハジメ!!!!」

「スマン!ホムラ助けてくれ!」


俺はこのアホな状況に目を丸くしながらも、急いで近くにあったフライパンの蓋を、轟々と燃え盛るフライパンに被せた。


「「はぁ〜びびったぁ」」


幸いにも炎が何処かに燃え移ることも無く、火事にもならなくて安心した俺とハジメは2人で大きなため息をついて、安堵から地面に尻餅をついた。


その後コンロの火を消した俺は、配信中なのもお構い無しに、ハジメをその場で正座で座らせてぐちぐちと説教をし始めた。


説教をし終えた俺は、改めてハンバーグを確認してみたが幸い燃えていた時間が短かった為、焦げてはいなかったが中が生焼けだったので、俺はハジメを床に正座させたまま、再度ハンバーグを焼き始めた。


「はい、と言う訳で本日のコラボ料理が完成しました!拍手」

「いぇーい!」


コメント

:88888888

:パチパチパチパチ

:おめでとう!

:無事?完成おめでとう

:チーズインハンバーグ美味しそう

:ハンバーグ食いてえ


「いやぁ今日のコラボは色々あったねハジメ」

「うっす、そうですねホムラさん」

「今日は俺が居たからどうにかなったけど、本当に危ないことはしないでくださいね」

「はい、心得ております」

「それじゃあ、ハンバーグが冷める前にさっさと食べるか」

「っしゃ!いただきまーす!」

「いただきます」


そう言って俺たちはご飯を食べ始めた。


「うっま!チーズとろっとろでマジでうまいな!」

「うーん……やっぱり少し焼きすぎだな」

「うっ……」

「まぁでも初めてにしては美味しく出来てるぞ」

「だろぉ!」


コメント

:だろぉ!(今までの事故は見ないフリ)

:うまそ〜

:ホムラ料理美味すぎるだろ!

:一家に一台ホムラが欲しい

:腹減った


その後も2人で今日の料理の感想などを言い合いながら美味しくご飯を食べた。


「「ご馳走様でした」」


そうしてご飯を食べ終えた俺たちはそろそろ配信を終え様と、いつもの様に宣伝があるかなどをハジメが俺に聞いて来た時に、俺は結構前からホムラガールズのメンバーといつかやりたいね、と話していた企画のことを思い出し、今日俺に大変迷惑をかけたハジメにその企画の打診をしてみた。


「なぁハジメ今日の配信で俺にいっぱい迷惑をかけたよな?」

「うっ…………はい」

「それでちょーっとお願いがあるんだけどいいか?」

「ゴクリ……お、お願いとは?」

「いや、そんなに身構えなくても大丈夫だって。ハジメってさ、あの子たち知ってる?よく俺とコラボしてくれる3人だけど」


俺がそう聞くとハジメは少し考えた後、思い当たったのか、あ〜と言う様な顔をして答えた。


「それってホムラガールズって子達のこと?」

「そうそう!それでその子たちとある企画をやりたいって結構前から話してたんだけど、俺たちだけだとメンバーが足りなくてな、それで出来ればハジメにその企画に参加してくれたらなって」

「なるほどなわかった。それでその企画ってのは?」


まさか企画内容も話さないうちに了承してくれたことに驚きながらも、俺は内心でガッツポーズをした。


「いやー良かった!てっきり俺は断れると思ってたから良かった!良かった!」


俺がそう言った途端ハジメは少し嫌な予感がして、俺に企画内容を再度聞いて来た。


「ハジメってさ、vtuberアンチの一部の人達に女性vtuberがなんて言われてるか知ってる?特にホムラガールズの子達なんだけど」


俺がそう聞くとハジメは少し考えた後わからなかった為首を傾げた。


「さぁ?」

「実はバーチャルキャバクラって言われてるんだよね」


俺がそう言った瞬間ハジメは嫌な予感をして顔を歪めた。


「おいちょっと待てよホムラもしかして……」

「そう!と言う訳で次回のホムハジコラボは、炎上必至バーチャルキャバクラでお会いしましょう!」


コメント

:おいおいおいおい

:バーチャルキャバクラはヤバイだろ

:この人よく炎の中に自分から突っ込みに行くよな

:草

:あーあ、ホムラまた燃えるんだろうな

:ヤバすぎワロタ


そう言って俺達の久しぶりのコラボはそんな怒涛の展開で終了した。

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