第7話 喰らえ!必殺のファイヤーパンチ
チャンネル登録者数が1万人を超えルンルン気分で眠りその翌日、見知ったメンバーからのお祝いメッセージが届いていた。
そうそれはユメノミライ一期生俺の同期達からの1万人おめでとうというメッセージだった。
あちらも運営からあまり俺とは関わるなと言われているのに、送られた時間を見るとそれは俺が1万達成したのとほぼ同時で、最近では殆ど会話もしなくなったがそれでも同期との絆を感じ胸の内が温かくなった。
そしてそれと一緒にコラボのお誘いも来ていたが、運営の意向もあるし何より彼女達のブランドに傷を付けてしまいかねないので、そっと断りの内容を送っておいた。
それからは配信に来る人数も増え、新規の視聴者が増える事により9割以上だった暴言の嵐も今では7割弱まで減った。
何とも喜ばしい事だ。
そして今日はユメノミライの給料日だ。
周りの皆んなとは違い人気が低迷している俺の給料はそこまで多くは無い。
だがそれでも俺には買わなければならないものがある。
それはつい先日の配信中のことである。
「まぁという事で裏でハジメさんと一緒にゲームしたんだけど、毎回良いところでやられてて天性の配信者なんだなって思ったんだよね」
コメント
:引退しろ
:裏でも仲良くて安心した
:またコラボするの?
:氏ね
「コラボか、まぁ出来たらいいけど俺とは違ってハジメさんは忙しいからな。まぁ最近はよく一緒にゲームしてる記憶あるけど」
コメント
:ハジメってよく裏で配信者にイタズラしたりするって聞いたことあるけどあれってホント?
:引退!引退!引退!
:着火着火カムチャッカファイヤー!!
:ホムラがすごい楽しそうだったからまたコラボできたらいいね
「そうだな俺もメチャクチャ楽しかったからハジメさんとはまたコラボしてみたいな。それとハジメさんって裏でそんな事やってるの?」
コメント
:たまにやられたってハジメと仲のいいvtuberとかが言ってる
:一回それでやり過ぎて燃えてたから多分ホント
:ファイヤー!ファイヤー!
:炎上戦隊燃えるんじゃ!
:ユメノミライから出ていけゴミ
「そうなんだ。でもそれ配信でやった方が面白いんじゃ無いのかな?ほらゲリラで配信中に急にやるとかさ」
コメント
:それこそ燃えるだろ
:このコメントは削除されています
:でもハジメってホムラほどじゃ無いけど昔はよく燃えてたよな
:まぁ昔のハジメはつまんなかったからな
「まぁそうだな流石にそれは燃えるか」
そんな風に雑談配信をしていると、噂のハジメさんからディスコードが届いた。
視聴者達には気づかれない様に話を続けながらディスコードを開くと一本の動画が来ていた。
『今すぐ見て』
『俺今配信中なんですが……』
『知ってる見てたから。という事でさっさと見ろよな。あっ配信に載せても大丈夫だぞ』
マジかハジメさん何考えてんだ?
それに配信に乗せても大丈夫って、まぁハジメさんが配信のネタにしていいって言ってるんだったら、ありがたく使わせてもらうか。
「はい配信を見ている皆さん今ですね。噂のハジメさんから一つの動画ファイルが送られて来て是非とも見てくれとの事だ。という事でちょっと準備するからちょっと待っててな」
コメント
:これは……
:まさか配信中に来るとはまさか配信見てるのでは?
二階堂 ハジメ:見てるよ。
:つまんない
:ヒェ
:さっさと配信辞めろ
ハジメさんの登場で盛り上がっているコメント欄を横目に動画の準備をした。
「よし準備完了っと皆んなちゃんと画面に映ってる?」
コメント
:おk
:やめろ
:ちゃんと見えてる
:楽しみ
「よしなら始めるぞ。再生!」
そうして問題の動画が始まった。
動画が始まるとすぐにハジメさんが現れ、1万人達成おめでとうと俺のいい所を褒めてくれるなどの俺にとっては凄く嬉しい動画が始まり少し涙が出てきた。
「ぐすっ」
だがそれも途中までの事、途中からハジメさんの声が途切れ始めたり画面が止まったりと、少しずつ嫌な雰囲気になっていった。
そしてそれは突然現れた。
何処から拾って来たのか顔の崩れたハジメさんが現れ、壊れた人形の様なおかしな話し方をし始め狂った様に笑い始め、最後に画面が真っ赤に染まった。
「うわぁぁぁ!」
ガッシャーン
そして俺の拳がパソコンのモニターを貫通した
「やっちまったー!!」
コメント
:こっわ
:スッゲー悪趣味
:草
:なんか凄い音聞こえなかった?
:マイクでも落としたんじゃね?
「やっべー。モニターぶっ壊れた。ていうか腕からもめっちゃ血出て来たんだけど……」
コメント
:草
:大丈夫か?
:これはハジメやったか?
二階堂 ハジメ:もしかしてやっちゃった?と言うかホムラ大丈夫か?
:マジで大事故じゃね?
:て言うかさっきからホムラの声聞こえなくね?
:これ大丈夫?
二階堂 ハジメ:おいマジで大丈夫か?
:えっこれどうしよう?
:救急車?
:住所も知らねぇのに呼んでどうするんだよ
:それよりも運営に報告だろ
それから30分後家に帰って来た真冬に、血塗れの腕がモニターに突き刺さって倒れている俺が発見され。
その際に配信は切られ俺は病院に救急搬送された。
その後は迷惑をかけた各所に謝りに行きこの件は落ち着きを取り戻した。
そして俺はモニターをぶち破る切り抜きがバズり、モニターを引き換えに登録者を2000人程手に入れた。
まぁそんな事で、今日は新しいモニターと迷惑をかけてしまった真冬にお詫びの気持ちを込めて、一緒に買い物へと都心へと向かうのだった。
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