第2話 因果

 女王の死はうわさによるところされたらしい。


 それが本当か知るすべは無いが、保守的ほしゅてきな考えを持っていた女王の死を多くの女性がよろこんだのは事実じじつだった。


 彼女の保守的な言動げんどうからの区別くべつ差別さべつみ、女王みずからがその象徴しょうちょうでもあった。


 すなわち女王の死は、それそのものの死であり、そのきざしとなり、きっかけとなった。


 女性達は女王の死をきっかけに革命かくめいとなえ、行動を起こすにはまたとない機会きかいであったのだ。


 抑圧よくあつされた生活に差別、いまだに手に出来できない参政権さんせいけん


 女性達はそれらにたんはっし、行動こうどうこさせた。


 その結果けっか、あらゆる人種じんしゅや、思想しそうった人々がじょうじ集まり、国内国外をわず、そのほとんどが女性であった。


 この国で自由をもとめるため


 そして今尚いまなお求め続けている――。


 女王の死から数年。私は14歳とり、この国にめられていた。


 多くの人々が集まるこの『自由への国』でも、東洋人とうようじんである私はただのよそ者でしかなかった。


 自由を求めこの国へ来たものの、それ以前に東洋人などれられるはずもなく、それ自体じたいに女性も男性も無かった。


 私はげ出したかった、この差別にあふれ、自由の無い世界から。


 そんな時分じぶん、14歳の元服げんぷくともない、私は母から魔法まほう継承けいしょうし、れて魔女まじょと成った――。


 母は魔女であったため、そのむすめである私には魔女のながれていた。


 魔女の血は魔力まりょくそのものであり、魔力である血をらし魔法を使った。


 自身じしんに流れている血が減る為、魔法を使うと貧血ひんけつを起こしたり、最悪さいあく死にいたるらしく、ゆえに本当に必要ひつような時にだけ使わなければならなかった。


 魔法を使うと言ったが、私は魔法というものの認識にんしき根本的こんぽんてき間違まちがっており、それを母から教えられた。


 魔法の継承――魔女の血が流れる私は、そのおかげで魔法の継承だけでむと言われたが、私は魔法というものが何かわかっておらず、継承の意味など知らなかった。


 魔法とは魔女が魔力を使い、呪文じゅもんえれば使えるちからようなものの事と。


 そう思っていたが、母いわくそれは『因果いんが』だと――。


 私の言う『魔法』は、魔力と呪文を使いこる力の総称そうしょうであると。


 事実じじつ、『魔法』はそれそのものであり、それ以外いがいようが無い。


 しかし母は、魔女の使う力が魔法ではなく、魔女のなかねむるものが『魔法』だと言っていた。


 故に、『魔力』を使い、『呪文』で『魔法』を目覚めざめさせ、力やかたちと成ってあらわれたものが『因果』。


 というかんがかたらしい。


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