おとめの夜あけ 第二部

合川明日

第1話 プロローグ

 190×年。その国は女王の死から変革へんかくもとめられ、それは一種いっしゅ好機こうきでもあった。


 女王の保守的ほしゅてきな考えは、区別くべつをより明確めいかくにさせ、それによりしょうじた差別さべつは、人々から自由をうばっていた。


 人々にとって女王の死というのは革命かくめいであり、変革による自由を求め、その国へ人々が集まり、行動こうどうこすようになった。


 何時いつしかその国は、その事から『自由じゆうへのくに』とばれる様にった。


 そしてその国は、その呼び名のとおり自由を求めてはいるがいまだに人々は自由を手にする事が出来できずにおり、それは女性達そのものであった。


 さきの戦争で女性達は出兵しゅっぺいした男性に変わり、あらゆる仕事をこなした。


 機関車きかんしゃ運転手うんてんしゅ建築けんちく、工場での武器ぶき製造せいぞう


 それらは女性が男性となんら変わらず仕事をこなし、はたらける事を証明しょうめいした。


 それにより女性達の地位ちい向上こうじょうしたものの、終戦しゅうせんともに女性は家庭かていはいるべきと位置いちけられ、社会しゃかい進出しんしゅつこばんだ。


 男性達は女性が自分達のアイデンティティをおびやかし、ってわられる事をおそれたのだ。


 そしてそれは、女性へ参政権さんせいけんあたえないというかたちいまつづいていた。


 何時しか女性達はつ事をめ、自由を求め立ち上がり行動を起こした。


 家庭かていまれ、抑制よくせいされ続け、差別をけ続けて来た女性達はふるち、各地かくち大勢おおぜいの女性達がデモを起こし、女性の地位向上や社会進出、参政権を求めていた。


 自由と平等びょうどうために――。


 『ウーマン・リブ』――女性じょせい解放かいほう運動うんどう


 女性達は広場ひろば国会こっかいまえなどあつまり、そのおもいのたけ演説えんぜつし、行進こうしんなどのデモをおこなった。


 それらはいたる所で行われ、女性達は自身じしん尊厳そんげんみずかつかろうと行動に起こしていた。


 それでも男性達からはややかな目で見られ、彼女達のうったえにみみたなかった。


 さらにデモは警官けいかんたちから規制きせいされ妨害ぼうがいけた。


 逮捕者たいほしゃも多く出たがそれでも彼女達はたたかった。


 投獄とうごくされ様と、出所しゅっしょしてはデモを行い、そのかえし。


 その回数かいすうは彼女達にとっては勲章くんしょうであった。


 つかまった女性達は獄内ごくないでもデモ行い、それはストライキという形で行われた。


 しかし、それらはいやがらせという形で返され、身体からだ精神こころむ者も出ていた。


 ただ彼女達もやられっぱなしでは無い。


 警官達からの弾圧だんあつ抵抗ていこうし、時には警官隊との衝突しょうとつ発展はってんした。


 しかし暴力ぼうりょくは女性達に多くの負傷者ふしょうしゃ死者ししゃまで出ていた。


 それでもあきらめる事の無い女性達は、デモを、行動を止める事は無かった。


 ――しかし女性達のそれらの言動げんどうでは社会はうごかず、何一なにひとつ好転こうてんしなかった。


 そして、次第しだいに女性達の行動は過激かげきに成って行った。

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