第4話 王都でのご飯
今回、王都に馬車で2週間も駆けて家族でやってきたのは、兄様が来年から王都の学園に入学予定だからだ。貴族の子息子女は、通常15歳になると王都にある貴族学園に入学することになっている。兄様が入学の準備の為に王都に来る時に、家族全員でついて来た感じだ。
貴族学園には寮があるけど、うちみたいに王都にタウンハウスが有る場合はタウンハウスから通うことになるらしい。それで勉強の準備の他に、環境は問題ないかとか足りてないものはないかとか色々チェックするんだって。制服、文房具、靴や鞄の他に家具や馬車とか必要な物を揃える他に、家庭教師を雇って勉強もするらしい。入学試験があるわけじゃないようなんだけど、入学してすぐに実力試験はあって、クラス分けとかに影響するんだって。
入学後は王都で暮らすから、早めに到着して王都の街に慣れようという考えもあるみたいだ。
僕は学園とかは、まだまだ先の話だけど、王都がどんな感じか見ておいた方が良いよって言われて一緒についてきたんだよ。
だから王都がどんなところかずっと楽しみにしてたんだ。
叔父様も交えてすこしゆっくりとお茶をした後、一度部屋に戻ってお風呂に入って夕食までの間はお風呂に入ったりして一旦休むことになった。領の屋敷から王都までは途中宿泊も何度もしていたからずっと馬車に乗りっぱなしというわけではなかったけど、今日だけでも何時間も馬車に乗っていた。
眠くはなかったんだけど、やっぱり疲れている気がしたので少しの間のつもりでベッドに横たわった。
王都での夕ご飯、ちょっと楽しみにしていたんだけど起きたら朝だったよ。びっくりだよね。
「はあ‥‥。夕ご飯、食べたかったなー」
朝食に出てきた、パンをもぐもぐしながらつぶやいていると、兄様が隣でふふふっと笑った。
「今、ご飯食べているのに‥。そんなにお腹が空いているの?」
「王都の夕ご飯、楽しみにしてたんだ。兄様は食べたの? グレートボアの串焼き出た?」
「いや、夕食は食べたけれど、串焼きはでなかったよ。なんで串焼き?」
「叔父様が王都では、串焼きがおいしいって。特にグレートボアの串焼きは最高だって言ってた」
「うん、やっぱり叔父様か。串焼きはね、多分屋台のことだとおもうよ」
「屋台?お祭りの屋台?」
「お祭りでなくても、屋台は出ているらしいよ」
「そうなの?王都ってすごいんだね!」
屋台って言ったら、お祭りで小麦粉を水で溶いたものを焼いたり、麺を焼いたりしているようなイメージがある。
それがお祭りでなくても出ているなんて、王都は年中お祭りみたいってことなのかな。
後で街を見に行こうって言われて僕はわくわくした。
朝食はハムと卵を焼いたものと、パン、スープだった。辺境の屋敷で出てくるものより、少し香辛料がきいていたけど美味しかったよ。
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