学校生活#8
人は醜い生き物だと言う人もいれば、人とはなんと美しい生き物だろうと言う人もいる。私はどちらかといえば前者になるのだろう。いじめ、誹謗中傷、リンチ、陰口、こんな言葉が世の中を飛び交うようになって30年余り。やはり人は醜いんだと思う。
次の日。理央さんの体調はすっかり良くなり、笑顔で私を見送ってくれた。私も笑顔を理央さんに返した後、前を向いて学校を目指す。
学校に近づくにつれ反比例のように足が重くなる。私が背負っているトラウマは中学生が背負っても良い重荷じゃないと自分のことながら思う。
しかしどれだけ重い足でも、前に進めばいつかは学校に着く。止まることはしない。今の私には進むことこそが生きる意味だから。結局心も足も軽くなることはなく、校門をくぐる。そしていつものように靴箱の向かう。でも、その光景は明らかにいつもと違った。
「・・・」
何度か見たことのある光景。陰湿な嫌がらせ。私の上履きはびちょびちょで泥だらけだった。自分の席や持ち物に悪戯されるのはいじめの1番多いケースで形に残る分、1番悲しくなるのだ。
私は茶色くなり、少し湿った上履きを履いて教室に向かった。教室のドアが閉まっていたので開けようとする。しかし取っ手に手をかけた時に記憶がフラッシュバックする。少し息を整え、深呼吸する。大きく息を吸って吐くと同時に勢いよくドアを開けた。
そしてまず視線の向かう先は私の机である。ペンやマイネームの落書き、カッターやホッチキスの後、そのような残酷な姿を予想していたがそんなことはなかった。
私は次に黒板に目をやる。いじめっ子とはいえ中学生になると高校を意識し始め、先生に怒られたりすることは控えたいはずで、証拠になり得ないいじめをすると考えた。だから私は黒板に私の悪口でも書いているのかと考えた。しかしこちらも予想は外れ、書かれていたのは今日の日直ぐらいだった。
でもクラスの不穏な空気を渦巻かせているのは私であり、みんなから冷たい眼差しを向けられる。慣れた視線で痛い視線遠受けながら自分の席に座る。それと同時にチャイムがなった。私は昨日何があったか知らないが、いつもとの空気が違ったのでやはり金曜日のことを引きずっているのだと思っていた。
しかしそんな考えはすぐに打ち砕かれた。昨日、私がいない時に起こったことを聞いた時、私はひどい怒りと切なさと人の惨めさを目の当たりにするのだった。
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