そしてお別れ#1
私は幸せになることが許されないのだろうか。何度もそう考えた。何故私なのだろう。そうとも考えた。答えに行き着くはずもなく、今を私は闇の中を1人歩いていた。
流石にまだ寝ているってことはないだろう。ロウデフも人間だ。お腹は空くし睡眠もとる。風邪もひくし疲れだって溜まるはずだ。でもあのロウデフが一日中寝ているなんてこと今までに無かった。
「ヨウデフ!大丈夫!」
呪いのことなど忘れて急いでロウデフの部屋のドアを開ける。
「え?、、、、、」
初めに出たのはその言葉だった。そこには真っ白な肌をした、何の活力もない横たわったヨウデフの姿があった。
「嘘でしょ、、、ねぇ!ロウデフ!返事してよ!ねぇ!ねえってば!」
ふと脳裏に映り出すロウデフの姿、小さい時、親に捨てられ不安だけしかなかった私を優しく腕で包んで頭を撫でてくれたロウデフ。自殺しようとしたのを止められた時今までにないぐらい強く叱ってくれたロウデフ。
小学校でいじめられて泣いていた私を励まし,元気付けてきたロウデフ。
友達が出来たって、初めての友達が出来たって、1番最初に伝えたかった人。その人が目の前にいて、もう目の前にはいない。私はロウデフの胸で泣いた。
朝の何倍も泣いた。もう出切ったと思っていた涙はまだまだあった。止まることを知らない猪のように、涙は流れ続けた。ロウデフの制服がびちょびちょになるまで泣いた。明日からどうしようなんてことは全く考えてなかった。
その後は救急車を呼びロウデフを連れて行ってもらった。
「はい、残念ながらロウデフさんはもう、、、、」
「分かり、、、、ました、、、、」
「すみません、ゴホッゴホッゴホッ、、何も出来なくて。」
「いいえ、ありがとう、、、、ござい、、、、ました、、、、」
顔にはまだ涙の跡が付いていた。もうどうでもよかった。唯一私との会話が平然とできた、ロウデフが、、、平然と?本当にできていたのだろうか。
ロウデフは無理していただけではないだろうか。もっと私が気遣っていたら。もっと私がしっかりしていたら。こんなことにはならなかったんじゃないだろうか。
「ロウ、、デフ、、、、」
フラフラと前に進み雑貨店へ進んだ。ゆっくりとした足取りで雑貨店に入った。もう、どうでもいいじゃないか、私が生きていたって何もいいことがない、香、ロウデフ、やっぱり私は生きてちゃいけない。そう思い私は果物ナイフを手に取った。
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