悲憤-hihun-3

「んんっ…眩しい……」


 窓から朝日が差して俺と樹矢を照らす。


 なんか、そんなに寝てない気がするな………。


 樹矢の怒りを受け入れるだけの行為が繰り返された。その影響で身体はとても重たく、起き上がるのが億劫だった。顔だけ動かし隣に目を向けるとキラキラと照らされいる恋人が寝ている。顔には涙の跡を残しながら。


 その涙の根源を思い出しギュッと胸が締め付けられて、昨晩の事をまた後悔する。


「んんぅ…」


 樹矢は寝返りをして俺に抱きついてきた。


「朱ちゃん…俺の…」


 そう寝言を呟く樹矢の頭を俺はそっと撫でた。



___




「朱ちゃん!起きて!仕事じゃないの?」


「えっ!!」


 ガバッと起きて時間を見る。時計は朝の十時になろうとしていた。気づかない間に二度寝してしまっていたらしい。


「まだ間に合う…良かった……」


「もー。ちゃんと目覚まししとかないとだよ?」


「うん…そうだな。って樹矢?」


 昨日の怒りなんて何でも無かったかのようにスッキリした顔の樹矢を見て不思議に思った。


「ん?どうしたの?朱ちゃん。」


「え、あれ……俺、昨日さ…」


「ああ!朱ちゃん、昨日はごめん!俺のせいで痛い思いさせて、本当にごめんなさい。怖かったよね?ごめんね。」



 真っ直ぐな瞳で俺を見て何度も何度も謝る樹矢。その手が俺の頬を撫でる。



「樹矢…悪いのは俺の方で、あんたは何も謝る事してないんだよ……!」



「ううん。全部俺が悪いよ。実はさっきマネージャーから電話があったの。昨日、自分の携帯を移動車に忘れちゃったんだよね。そしたら別

に持ってた仕事用の携帯に連絡が来ててさ。朱ちゃん、今度俺の写真集のカメラマンになるんだって?」

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