汚れ

@ayauyt

第1話

ずっとそうだった。

何も変わらない、おれだけずっと、泥まみれの道を歩いてきた。


〈弘樹幼少期1〉

「次お前が鬼なー!」

「またかよー」

同じ小学校の人の声が聞こえる。

1人の帰り道にも、もうすっかりなれてしまった。

歩き慣れた道のりを、いつも通り歩く

自分の部屋の前にたつとピンポンを鳴らす

いつも通り、返事はなく、その代わりと言ってはなんだが鍵はあいている

カップラーメンのごみ、散乱したパチンコの雑誌

もう、この光景にもなにも思わなくなってしまった



弘樹が、物心ついたときにはすでに父親はいなかった

離婚して初めの方は優しかった母親はすぐに、俺に見向きもしなくなった。

それから、毎日この有様だ

でも、もうどうでもいい。離婚していなかったとしてもいずれ、こうなっていただろう。

そうして、部屋で過ごしていると、突然インターホンが鳴った

インターホンが鳴るのは珍しいと思い、一応でることにした

「すみませーん、警察なんですが、佐藤綾香さんいらっしゃいますか 少しお話しお伺いしたいんですが」


ここからだ

俺の人生の歯車が狂い始めたのは—。


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