第5回レポート
2042年08月14日
16:45
犯罪者:ノア
■■■空港屋上事件後(平日・午後)
目の前に広がるのは滅びた街の風景。空には巨大な『青い惑星』。
屋上に立っているのは白い服の男の子。彼は滅びた街を浮いた目で見下っている。
「色んなものを見えるようになった時には、いつも手遅れだったな。」
男の子は誰かに向かって話していた。
彼の後ろから足音が聞こえてくる。彼は振り向いた。
どこかで偶然あったような、顔の知らない二人の男女が彼の前に立っていた。
「やー」
男の子は二人に挨拶した。
「あの惑星、お前の仕業か?」
制服の男は、目の前の男の子に問いかけた。
「あなたが...犯人...?」
無表情な女の子から震えてる声が聞こえた。
「そうだよ~」
男の子は微笑みながら二人の質問に答えた。
「なぜそんなこと!」
男からの質問で、男の子の表情は変わった。
そして、答え始める。
「価値がないんだよ。この日常に、絶望しかいないこの現実に。」
■■■背景変更:滅びた街の光景1
「人間はこの世界さえ滅ぼすことができる力を持っている。」
■■■背景変更:滅びた街の光景2
■■■背景変更:滅びた街の光景3
「なのに、どこか暗い場所で泣いている誰かの涙は拭えられない。」
■■■背景変更:滅びた街の光景4
「だからこの絶望しかいない君の日常、その繰り返しの7日間、僕が削除してあげる。」
■■■空港屋上事件後(平日・午後)
「最高にいいでしょう?ふふっ。」
男の子はクスクスと楽しそうに笑っている。
「じゃ、全力で生きてる他の人たちはどーでもいいって言うのかよ!?」
男は疑問を返した。
「あたしの...あたしの家族は...あたしの家族を...返せ...」
泣き出しそうな声で女の子は言葉を吐く。
「それって、僕には関係ないんだよ。」
男の子からの一言で、三人の会話が詰まった。風の音だけが聞こえる。
「お前...人間じゃないな。」
「あれ?言ってなかったけ?ごめん、ごめん。」
男の子は笑う。
「あなた...愛されていないんだね。可哀想に。」
「それも正解!その通りだよ!ぁはははは!」
狂ったように泣き笑いをはじめる男の子を二人は静かに見ていた。
「あー。そうだ。僕は『
「貴様っ!」
男はベルトから銃を抜き出し、狂ったように笑っている男の子を狙った。
その瞬間、女の子は前に飛び出した。
彼女は男の子を抱きしめた。
「おい!お前...」
女の子の行動に驚いた男は銃を下ろした。
「可哀想だから。あなたの命、あたしが終わらせてあげるね。」
女の子はいつの間にか握っていたガラスの欠片で男の子の胸を刺した。
白い服を着ていた男の子はピンク色に染められた。
「あぁ...ありがと。助かるよ。」
「さよなら。大嫌い。」
女の子は誰にも振り向かず、登ってきたエレベーターへと向かい、その場を離れた。
彼女の後ろ姿は、後悔一つもないように見えた。
ピンク色に汚れた男の子は崩れ、近くの壁に背中を寄りかかる。
残っていた男は彼に近づく。そして、右手にあった銃で男の子の頭をもう一度狙った。
男の目を見ながら、男の子は語り始めた。
「君ならわかるだろ?僕が言いたいこと。」
「お前のことは秘密にしてやる。やっぱ違うんだ。俺たち。理解できなくてわりーな。さよなら。哀れな奴め。」
倒れている男の子を置き去りにし、男はその場を離れる。
彼の後ろ姿を見送る男の子はかすかに笑った。
#
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます