数年ぶりに旧友から声をかけられ、舞台演劇の脚本を書く男のお話。
特段ドラマチックなことのない普通の男の、その人生のドラマを描いた物語です。
キャッチコピーは伊達でなく、本当に劇的な出来事のない人生を送る主人公。
平凡で平和で平坦で、今も昔もなんてことのない出来事ばかりなのですけれど、でもそれはそれで幸せそうだしいいかーって思えるところがとても素敵でした。
なんだかんだ何年ぶりかに会う友人と、学生時代のように付き合うことができて、その結婚に憎まれ口を叩いたりしながらも、でも本気で祝えるような関係であること。
劇的な事件なんかなくても、とても良い生き方ができているのではないかと思えて、そのどこかほっとするような優しい読み味が好きです。
ド派手な出来事が何もないぶんだけ、その手触りの身近さが印象深いお話でした。