第13話「君」と私の絆

「どうして…?私、君のライブ…お客さんと一緒に盛り上がって楽しみたいなあ…って思ってたんだけど…ダメだった?」


「――」


「えっ…?私と一緒がいい…!?どういうこと?」


「――」


「なになに…、曲もアレンジしてもらったし…、私も演奏に参加して欲しい…?

 それで…ギターの中に…?」


「――」


「ふんふん…、服の中でもいいけど…、それだとなんか雰囲気が出ない…?

 …たしかにそうだね…。うん、オッケーだよっ!

 …とうっ!ギターくんおじゃましますっ」


(…あとは…、恵理那たちのことも…気になるな…)


「それと…実は…、前に話してた…、私が脱退したバンドのメンバーが、今、お客さんとして廊下に来てるのが見えて…。

 最後は結局、私が勝手に辞めるような形になっちゃったんだよね…。

 それで一言、謝りたいな…って思って…」


「――」


「えっ…?君が…あの三人に話してくれるの!?」


「――」


(なるほど…、私が死ぬ前に、すでに君と友達になってたことにする…。

 そして二人で色々と音楽の話をするなかで、私が恵理那たちに対して悪いことをした、と後悔しているみたいだった…、って伝えてくれる…ってことか)


「ありがとう…いい方法だね。でも…」


「……」


「私は…、やっぱり直接謝りたい…。それと…嘘をつくのは抵抗がある…かな。

 ごめん…。君の考えも…いいと思うんだけど…。

 私は…馬鹿正直で真っすぐなところだけが長所だからさっ…。

 …もうちょっと方法を考えてみるよ。自分を曲げられない頑固な女の子でごめんね…」


(そんなことない、って…必死で首を振ってくれてる…。

 君のためにもなんとかして自分の言葉で伝えたい…。

 でも、私の姿は…君以外の人には見えない…。う~ん、どうすれば…)


 私の入ったギターをつま弾いて、チューニングをチェックする君。


「ひゃんっ!?くっ、くすぐったい~っ!きゃはははっ!

ちょ、ちょっと…君ぃ~!弾くのやめてぇ~!…す、ストップぅ~っ!」


「――」


(な、なに!?どうしちゃったの?前はこんなことなかったのに!?

 これじゃ…一緒にステージなんて上がれなくないっ!?)


「――」


「ああ~っ!もうスタンバイ時間だね!

 しょうがないから私、予備で持ってきたギターの方に入るよ!

 それでも一応ステージ上にはいられるから…。

 …頑張れ…。君なら絶対大丈夫っ!私もついてるからねっ!」


「――」


「うんうん…それじゃね!」

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