第10話「君」と私

 夜、君の部屋で完成した曲をブラッシュアップ中。


「それじゃあ…、ここで、こうして…全部の楽器の音を止めればインパクト出るんじゃない?」


(アレンジ作業って楽しい~。曲がいいからどんどんアイデアも思いつくし…)


「やっぱり君の曲…すごくいいなっ!

 優しいけど…でもそれだけじゃなくって…痛いくらいのメッセージもある…。

 歌詞にも曲にもね…。まるで君みたいだよ…」


 照れて微笑む君。


「必死で私を守ってくれた時…、ほんとに嬉しかった…。

 それから、その…す、好きって言ってくれたことも…。

 …あ、あのねっ…、夕方言いそびれちゃったんだけど…、はっきり言うねっ…。

 私、波根花憐は…君のことが、友達とか…仲間として以上に…、お、男の子として…大好き…ですっ!!」


(きゃああああっ!言っちゃったぁ~。は…恥ずかしいぃ…。

 告白って…こんなに恥ずかしいものなの~?

 君の方を全く見られないよぉ~。どうしたらいいのっ~?)


「――」


「…隠れないで出てきて…?わ、分かった…。

 でも…やっぱり恥ずかしくて…君の顔が見られないの…。

 それで…ギターの中に逃げちゃった…」


「――」


「えっ!?君も…そうなの?今すぐ…隠れたい…?

 あははっ…そうなんだ~。よかったぁ~。私だけじゃないんだね~。安心したよ…。ごめんごめん…一人で逃げて」


(すねたような顔してる…。可愛い~っ)


「…ほんとにごめんね、私だけ隠れたりして…。

 よしよし…頭、なでなでしてあげるね…」


(うんうん…気持ちよさそうにしてる…。?…てか…寝てるっ!?)


「しょうがないなあ…。色々ありすぎて疲れたんだね…。

 そうそう…そのまま…楽にしていいからね…。ひ、膝枕…してあげるからっ…」


(あうっ…、君は眠ってるみたいだけど…めちゃ緊張するぅ~。

 大丈夫かな?いきなり目を覚ましちゃったりしない?

 私の太もも硬すぎないかなぁ?

 はあ~っ…こんなことになるなら膝枕練習しとくべきだったなあ~、…どうすればいいのかわかんないけど~!)

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