#4 倒立実像
教室。どうやら、授業終わり。
いや、様子を見るに、次の授業が始まるところだろうか。皆、次の授業の準備をしている。
突然チャイムが鳴った。予想は的中した。
化学の教師が入ってきて、挨拶をした。
これまた授業はわからない。僕の意識は夢で聞かれた質問に移っていた。
この世界は、夢の世界か、現実の世界か。
考えてみると、両者共に不自然な点がある。
あちらの世界は、毎度毎度同じ場所、同じシーンから始まる。その上、あちらの世界には、彼女を除いて(いじめてくる奴らを除いて)誰もいない。街中の巨大なモニターにはキャスターがいて、その映像では沢山の人で溢れているのに、僕らがいるところは、全く誰もいないのだ。
かたやこちらの世界では、僕は気づけば別の場所に(大抵は寝た時に)移動していたりすること、あの彼女がいないこと、つい先日のことになるが、無意識のうちに問題を解いていたこと、そして何より、ここまで述べていなかったことだが、こちらの世界では、例の奴らが、まるで僕が突然反撃でもするかのように、恐れている、といったことなどが挙げられる。
いや、もはや普通の定義すら危ういのかもしれない。この世界が正しいのか、あの世界が正しいのかは、僕がどちらかに属している限り、わかるはずがないのだから。
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