第16話 友比良と裕子
モコちゃんは真顔な感じで俺を見てくる。
俺はその姿を見ながら、まあ.....友比良が、アイツが恋をしているとは思わなかったよ、と答えてみる。
するとモコちゃんは、ですね、と答えた。
「私も知らなかったですよ。お兄ちゃんの事、応援したいんです」
「.....だな。まあお前がそう言うぐらいだから」
「でもまあ.....変態さんのお世話になりたくないんですけど.....本当は」
「いやもう止めて?変態は」
「だってそうですよね?二股って聞きました」
あの野郎.....。
俺は考えながら、いつかぶっ殺す、と思いつつ相談に乗る。
すると、兄と私は再会したのが結構時間が掛かったので励ましたいんです、と言ってくる。
どういう意味だ?、と思っていると。
私、実は.....親の都合でオーストラリアに居ました。
その時に、外国が苦手で通うのに苦慮するだろう、という事でお兄ちゃんはお父さんとこっちに残りました、と言ってくる。
ああ。友比良ってそういう経験もしていたんだな。
「でもそれって今は思ったんですけど裕子さんの為じゃないかって思いました」
「.....あー.....成程な。それだったらあり得るかもしれないな」
「何があり得るって?」
俺達はビックリしながら背後を見る。
友比良が立っていた。
俺達を見ながら苦笑している。
今のは聞かれたのか!?
「.....もしや俺の恋愛相談か?」
「.....そ、そうとも言えるな」
「お前なぁ.....先ずはお前は目の前の事を考えるべきだろ。長妻。レコちゃんとかナコちゃんとか」
「.....まあそうだが.....でもお前の事だしな」
「.....有難いけどな」
友比良は苦笑しながら見てくる。
俺はその姿を見ながらモコちゃんを見る。
モコちゃんは赤くなっていた。
私は本当にお兄ちゃんが心配だから、と言う。
俺はその姿に、な?、と話す。
「.....モコ。有難いけど。.....でも俺の恋愛はどうでも良い。.....今は親友の事を考えたいしな。俺の恋愛はどうでも良いんだ」
「そんな事.....お兄ちゃんは好きって言ってたじゃん」
「そもそも割に合わないしな。.....俺と裕子じゃ」
「.....昔の事はもう良いじゃない。そんなの.....」
モコちゃんは顔を顰める。
俺は、何かあったのだろうか、とは思ったが。
聞くに聞けなかった。
まあその.....聞ける立場じゃないし。
「.....友比良。何があったかは知らないが。.....俺の恋愛は俺で片付ける。.....お前は心配性すぎるぞ。自分の恋愛に向き合ってくれよ。そんな感じは.....受け入れられない」
「.....ははは。冗談を。.....俺はどうでも良いんだって」
「何でそうはぐらかそうとするんだ」
「.....はぐらかしてはないな。.....ただ単に.....」
「俺が信頼出来ないのか?」
俺はその言葉を発しながら友比良を見る。
友比良は!と浮かべながら俺とモコちゃんを見てくる。
モコちゃんは心配げな顔をしていた。
友比良は苦笑する。
「.....お前さ。.....本当良い奴だな」
「俺は友人が恋を埋めているのが気になるだけだ」
「.....俺な。.....裕子が好きだ。だけど俺は.....」
そこまで言った時。
ドサッと音がしていきなり俺達の横を誰かが駆け抜けた。
そして友比良の唇をそのまま奪う。
それは.....裕子だった。
俺は!?と思いながらモコちゃんと一緒に驚愕する。
「お前!?な、裕子!?」
「.....別に私は良いけどさ。.....私は.....我慢出来ない!アンタが好きなら私だって負けないぐらい好きだから!!!!!」
「.....!」
友比良は真っ赤になりながら慌てる。
そして裕子は、何?、と言う。
赤くなりながら、だ。
俺達もあわあわせざるを得ないのだが。
「だからキスだって出来るし!.....私は.....アンタが好きだから!今後はそういうの.....隠さないから!」
「裕子.....」
友比良は真っ赤になりながらも。
徐々に気力を取り戻し。
そしてハグをした。
裕子を力強く抱き締める。
「.....良かったですね.....」
「ま、まあ激しいけど.....」
赤くなってしまった。
見ているだけなのにドキドキする。
良かったとは思うけど、だ。
裕子がこんな積極的だとは思わなかった。
恋、か。
そう思いながら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます