第15話 大切なもの

「ふむふむ。身近な女の子がエロテクで迫って来る.....と?」


「エロテクってお姉ちゃん.....」


「エロテクはちょっと」


國子先輩は顎に手を添えながら考える。

その姿を見ながら俺は久仁子を見た。

久仁子は苦笑しながら赤くなっている。

俺はその姿を見ながら國子先輩を見つめる。


「エロテクで迫って来るなら心境を聞かないとな。.....女の子がエロくなるのは基本的には好きな異性だけだ」


「.....やっぱそうなりますよね?」


「そうなるな。.....私達が突然エロくなったら君が困るだろう?つまりはそういう事だ」


「.....やっぱりこの想いには応えないといけないですよね?」


「そうだな。必ず応えるべきだ」


「.....好きであるか。好きでないかにも関わらず、ですね」


その通りだ。

つまり君がどんな形であれ。

その想いに必ず応えなくてはいけない立場であるのは間違いない、と言ってくる顎に手を添えている國子先輩。

俺も少しだけ悩む。


「.....しかし愛されているのは素晴らしい事だ。.....私達には愛されている過去は無いからな」


「.....!.....すいません」


「.....何を謝る必要がある?.....ただ単にそれだけ言いたいだけだ」


しかし愛は素晴らしいな、と言ってくる國子先輩。

クスクスと笑いながら笑みを浮かべる。

俺はその姿を見ながら、ですね、と応える。

すると久仁子が、ねえ。その人からは本当の愛の告白とかされたの?、と興味津々に聞いてくる。

いや、と首を振りながらも。


「.....ただ今も好きってのは知っている。どう考えてもな」


「そうなんだ。昔から知っているんだね」


「.....そうだな」


「.....良いなぁ。そんな恋愛してみたいなぁ」


久仁子は言いながら目を輝かせる。

俺はその姿を見ながら、お前は良い子で可愛いのに全くあれだよな、と言う。

すると久仁子は目をパチクリした。

そしてボッと赤面する。


「えーちゃん!?」


「.....え?本心だぞ?」


「アッハッハ!君は鈍感すぎる!」


「えぇ!!!!?」


まあそれが君の良い所かもしれないがな、と言いながら苦笑いを浮かべる國子先輩。

俺はその姿に久仁子を見る。

久仁子は赤面していた。

俺は???を浮かべながら.....そのまま考えるが。

分からなかった。



そして俺は久仁子と國子先輩にお世話になって。

そのまま帰宅する。

女子の気持ちは結局あまり分からなかったが。

でもヒントは得れた様な気がする。

思いながら俺は帰宅の道を歩く。


「.....ほう」


俺は息を吐きながら。

そのまま空を見上げる。

良い青空が広がっていた。

そして俺は公園を通り過ぎて歩いて行く。


『久仁子も私も.....愛情を知らないからな』


「.....」


そんな言葉が強く耳に残った。

俺はそれを反復させながら.....歩いて行くと。

あの、と声がした。

俺は?を浮かべて振り返る。


「.....長妻英治さんでしょうか?」


「.....そうだけど.....君は?」


「私、友比良モコ(ともひらもこ)って言います。12歳です。.....お兄ちゃんがお世話になっています」


ランドセルを背負った小学生が立っていた。

綺麗な黒髪に.....真面目そうな感じの美少女である。

俺は目をパチクリしながら、そうなのか、と聞くと。

はい、と答えた。

実はですが.....用事がありまして、と言ってくる。


「お兄ちゃんの恋愛相談に乗って下さい。とは言え.....私の悩みですが」


「.....え?.....アイツって恋はしないって言ってたぞ?」


「.....それは無いですよ。裕子さんが好きです。お兄ちゃんは」


「.....え!!!!?」


声が大きくなってしまった。

アイツって裕子が好きなのか!!!!?

俺にも内緒で恋愛しやがって!?

考えながらも、まあアイツらしいか、と思い大きくはしなかった。


「裕子さんとお兄ちゃんはその。恋愛にほつれがあります。.....恋愛には発展しません。だからくっ付けたいんです」


「それで俺に恋愛相談しに?」


「そうですね。.....その。英治さんは女性を二股にしていると噂ですので.....女子に楽観視の方にあまり相談したく無いのですが.....」


「どっから出たんだそういうの!!!!?」


「お兄ちゃんから聞きました」


あのクソバカ殺す。

俺はそう考えながらも気持ちを落ち着かせた。

それからモコちゃんを見る。

そして、ここじゃなんだ、と言いながら公園を指差す。


「.....あそこのブランコで相談に乗ろう」


「はい。.....宜しくお願いします。変態さん」


「.....仮にも止めてくれ。誤解だしな」


「え。でも変態さんですよね」


「いや.....うん」


それを女子小学生から言われたらヤバいって。

俺は思いながら苦笑いで、訂正して下さい、と懇願する。

するとモコちゃんは、分かりました。いざとなったら防犯ブザーを鳴らします、と言ってきた。

最近の女子小学生これだから怖いんだけど.....。

だから近付きたくも無いっていうか。


でも思った。

この相談で.....俺も成長出来るかな、と。

だから乗る事にした。

ヒントが得れる可能性もあるしな。

女子を大切にするヒントが。

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