第14話 女子の気持ちを理解したい

「そっか。そうなんだね」


「.....ああ。何というか血が繋がってない。俺とレコとナコはみんな、な」


「.....それはそれで頑張っているから良いんじゃないかな」


俺は放課後の事だが久仁子の家に向かっていた。

それは何故かといえば.....久仁子に誘われたから、だ。

その途中でそう告白した。

すると久仁子は優しく受け止めてくれる。

相変わらずだよなコイツは。


「私は焦らなくて良いと思ってるよ」


「.....そうか」


「.....うん。君の笑顔で誰もかれもが幸せになるから」


「俺の笑顔で?.....それは言い過ぎだろ」


いや。君は本当に笑顔が素敵だからね、と笑顔を浮かべる久仁子。

言い過ぎだっつーの。

俺は苦笑しながら見つめる。

久仁子は、君の笑顔は人を変える。人の笑顔は人の心を変える。.....でしょ?.....君が私を助けてくれた時みたいに、と言ってくる。


「そうだな。懐かしいな。お前が塞ぎ込んでいた時だよな」


「.....成績でね。.....だからその分の恩返し。気にしないで受け取りたまえ」


「何様だよお前は」


「はっはっは」


そんな会話をしながら俺達は久仁子の家に着いた。

それから古いアパートのドアを開けると。

待っていたぞ、と國子先輩がひょいと顔を見せる。


へ?何やってんだこの人。

生徒会の仕事はどうしたのだ。

思いながら見ていると國子先輩は笑みを浮かべる。


「君が来るって言うからな。早めに帰って来た。生徒会長の権限でな」


「お姉ちゃん.....」


「最悪じゃね?それ」


俺は苦笑する。

久仁子も苦笑しながらも。

もう、お姉ちゃんったら、と満更でもない感じを見せた。

それから俺達は何かを作っている國子先輩を見る。

これは何か?だろ?.....そうだな。雑草クッキーだ、と答える。


「より正確に言えば雑草ではないがそれでも雑草の七草粥の原料で作った特製クッキーだ」


「雑草は表現悪いよー。お姉ちゃん」


「そうだな。久仁子」


だが七草なんぞ雑草だろ?、と言ってくる。

良薬に対してなんて事を言うんだ、と思いながら國子先輩を見る。

顔を引き攣らせながら、だ。


その中で、すまないが小麦粉も砂糖も高くてな。量が少しだが勘弁してくれ、と言ってくる國子先輩。

俺はそんなご配慮はしなくても、と言うが。

将来の旦那の可能性のある者に変なモノは食わせられないからな、と國子先輩はニコニコした。


「.....お姉ちゃん.....無いから。.....それにレコちゃんとナコちゃんっていう良い子も居るんだから!そんな事言っちゃ駄目」


「ふむ?楽しみにしているんだが。.....特に子供が出来た時に.....」


「お姉ちゃん!!!!!」


「す、すまん」


真っ赤になって久仁子は暴れる。

國子先輩は怯んでからそのまま久仁子を止める。

俺も久仁子を止めた。

その中で國子先輩は、まあ冗談はさておき。上りたまえ、と言ってくる。

俺は頭を下げて、もう。お姉ちゃんったら、と言う久仁子と一緒に部屋に上がる。


部屋は5畳ぐらいの部屋だった。

狭いと言えばそこまでだが。

そんな感じで.....あまり物品は無い。

強いて言うなら花瓶が置かれているぐらいか。

目立つのは、だ。


「ねえねえ。えーちゃん」


「.....何だ?久仁子」


「ごめんね。私のお姉ちゃんが変な事ばっかり」


「.....気にしてない。.....相変わらずじゃ無いか?」


「そうだねぇ。.....でも謝っておくよ。.....君の事は好きにならないって言ったのも失礼だから謝っておくね。そういう意味じゃないから」


「ああ。助けられた友人として見守りたいって話だろ?」


そうだね、と笑みを浮かべる久仁子。

分かってくれているんだったら嬉しい、とも。

俺はその言葉に頷く。

そうして待っていると甘い匂い共にジュースが出て来た。

すまない。こんなチンケなものしか無いが、と表現しながら。


「.....うちは貧乏でね。.....なかなか苦しいからね」


「.....そもそもこういうのを用意してくれるだけで感謝しかないっすよ」


「君は本当に良い人だね」


「良い人っすかね?当たり前の事を言っているだけっすよ?」


「.....手相もそうだが。優しい。君は将来は幸せになるよ」


國子先輩は俺の手相を静かに見てくる。

俺はその姿を見ながら頬を掻いてから少しだけ恥じらう。

そして國子先輩は柔和な顔をする。

やはりな。君は必ず誰かと結婚出来る。.....そして幸せになる。そういう手相だしな、と言ってくる。


「.....それは誰かは分からない。でもその前には乗り越えなくてはならない試練が多いだろう。.....まあ君なら何とかやっていけるだろうがな」


「.....有難う御座います。國子先輩」


「.....所で君は何の用事でうちに来たんだ?.....私達が言っただけで来たって事ではなかろう?.....君の事だからな」


「.....女子の気持ちを考えたいんです」


久仁子と國子先輩は驚く。

それから俺に向いてきながら、それはどういう意味かな?、と言ってくる2人。

俺は、今は分からないナコとレコの気持ちを理解したいんです、告白した。

そしてジッと見据える。


「.....そうか。私たちも女子だったな」


「そうだよ。お姉ちゃん」


「.....ふむ。勉強熱心なのは良い事だ。それでは.....色々と私達に質問したまえ」


そんな感じで胸に手を添える國子先輩。

それから期待の眼差しで見てくる久仁子。

俺は散々悩んでから口を開いた。

そして見据える。

もし、と。


「もしですよ?とある女の子が極端なエッチで変態だったとしたら.....俺はどうしたら良いと思います?」


「.....えー.....えーちゃんのえっち。そんな事聞くんだー」


「そうだな。これはえっちだ」


ジト目と大きな豊満な胸を隠す仕草をする2人。

いや?見てないからな?

赤面しているし.....これは勘違いされているな?

これはマズかったか.....質問としては。

さて何を聞こうかな、うん。

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