第13話 そもそもエロに引き摺り込んだのは私だし
ナコとレコ。
血が繋がってない姉妹。
そして俺とも血が繋がってない。
そんな中で.....俺は愕然としていた。
レコは.....自ら以外の全ての家族を失った、という事に。
俺はその事に悲しげにレコを見ていたが。
レコは吹っ切れた様に俺に笑みを浮かべていた。
ナコはこの事実を知らない、としているが。
知っていると思う。
何故ならこれだけ一緒に暮らしていれば、だ。
「.....ナコ」
「.....何?英治」
「.....お前は知っている.....んだな?」
翌日の学校の放課後。
俺の部屋に居座っているナコにそう問い掛ける。
するとナコは、まあそうだね、と答えた。
これだけしか言ってないのに判った様である。
何について問い掛けているか、と。
「性欲の事でしょ?」
「.....お前に期待した俺が馬鹿だった」
「待って待って。冗談だから」
「.....それでは知っているんだな?お前は」
「.....レコが事故で家族を失った事でしょ?」
「.....やはり知っているんだな」
これだけ暮らしていて気が付かないヤツは居ないでしょ。
言いながらナコは複雑な顔を浮かべる。
それからそんなナコを見る。
ナコは苦笑した。
「.....正直.....私も知った時にレコに話そうと思ったけど。レコは笑顔だったから。.....だから何も聞けなかった」
「.....」
「でもそれがどうしたって気分だよ」
「.....え?」
レコがもし悲しむなら抱き締めてあげる。
撫でてあげる。
それが.....私達に出来る手段だから。
私達がレコの家族の代わりになるんだから、と言ってくる。
俺は!と思いながらナコを見る。
「.....ねえ。英治。それは例えばだけど。.....私達が家族じゃダメなの?」
「.....そうだな。そういう考えは及ばなかった」
「.....でしょ?.....だったらそれで良いと思うんだよね」
漫画を置きながら顔を上げるナコ。
俺はその姿に頷く。
そして、あ。それはそれだけど。そうそう。英治。私バイ◯買ったんだ、と告白して.....ぁあん!!!!?
何言ってやがる!!!!!
「いや。気持ち良くなりたいし?」
「お前はアホか!死ね!」
「そこまで言わなくても良いじゃないの〜英治」
「全くお前は!」
俺は思いながら真っ赤になる。
するとクスクスと苦笑した。
それから、実はね。レコをエロの世界に誘ったのは私なの、と言ってくる。
お前か主犯は!!!!!純粋な子を!!!!!
「.....でもそれは.....レコが悲しんでいたからだよ」
「.....!」
「.....祖父母に捨てられたレコは悲しんでいたからね。.....何も信じられない的な感じで。.....そんな時に気持ち良さを教えてあげたの」
「この馬鹿野郎が!!!!?」
途中から良い話がエッチな話に捻じ曲がってんぞ!
ふざけんな、と思ったが。
お前が笑顔にしたんだな、と俺はナコを見る。
ナコはエロ漫画を読みながら、うん、と答える。
何を勝手に俺の部屋で変な漫画読んでんだ。
「私ね。.....レコが当初は嫌いだった」
「.....何故だ」
「.....お父さんをその方面で独占するから」
「.....成程な」
「.....でも今では家族だから」
そう言いながら俺を笑顔を浮かべて見てくるナコ。
俺はその姿を見ながら苦笑する。
そして、でも今では家族だから、という言葉に胸が温かくなる。
本当にコイツはどすけべの変態だが。
こういう所はお姉ちゃんだよな、と思いながら。
「まあでもそれでレコが笑顔になったんならそれはそれで良いかもな」
「.....でもそれ以外にもレコが笑顔になったのは理由があるよ」
「.....何の理由だ?」
「.....簡単だよ。.....全ては英治だよ」
「.....お前。2回俺達は会っている事も知っているのか」
知っているに決まっているでしょ。
お姉ちゃんを舐めたらあきまへんよ、と言ってくるナコ。
俺は盛大に溜息を吐きながら、何処まで知っているんだ、と聞くと。
2回会ったぐらいかな。キャンプ場で、と言ってくる。
随分と知ってんな。
「それは何処で知ったんだ」
「レコの胸にはずっとロケットペンダントが有るのは知っているね?」
「.....そうだな。.....あれは.....」
「お父さんがくれたんだって。.....そして中には英治と.....レコの写った写真があるよ」
「.....マジか.....」
ずっと好きだったんだよ。レコは英治が。
と言いながら苦笑するナコ。
俺は愕然としながら額に手を添える。
そして、そうか、と呟く。
するとナコは頷いた。
「.....まあだから何だって話だけど」
「.....?」
「.....私は負けない。.....英治の取り合いならもう勝っているつもり」
「.....相変わらず強いな。お前は」
もう勝っているつもり、か。
俺は考えながらナコを見つめる。
ナコはフンッと鼻息を荒くしていた。
俺はその姿を見つつまた苦笑する。
「.....だから家族は家族だから」
「そうだな。過去は過去で.....決して忘れちゃいけないけど」
「.....うん。.....だからレコと何時迄も一緒だよ」
「そうだな.....うん」
そして俺達は頷きながら。
笑みを浮かべた。
因みにこの後にレコが乱入して来た事は言うまでもない。
さてどうなっていくだろうか。
俺達は。
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