例えば全て失ったとしても俺達が居る
第12話 事故で一家を失った女の子
俺が.....既にレコに会っていた。
そして.....ナコより優勢.....?
何がどうなっている.....?
俺は思いながら汗をかく。
それから本棚を見る。
そこには幼い頃の俺の写真が。
つまり7歳ごろに最後にナコとレコと撮った写真が飾られている。
俺は顎に手を添える。
何処だ?何処で.....俺はレコに会っている?
思いながら俺は考え込む。
だが答えは見つからなかった。
考えながら.....本棚から目線を外して本棚の側面を見ると。
そこに古ぼけた新聞が山積みにされている。
母さんが趣味で太古の昔から集めていたものだ。
置けなくなったから俺の部屋に置いている。
そんな感じだ。
「.....ったくもう」
俺は古ぼけた新聞の上を見る。
それから?を浮かべる。
目に付いた。
それは車を運転中の一家が高速道路で事故に遭った、という.....記事。
日付は今から12年前の記事だ。
俺は注目して見る。
それから生存者の名前を見て愕然とした。
その部分に唯一の生存者で、東浜レコ(5歳)、と名前が刻まれていた。
レコ.....レコ!!!!?
まさか。
いや?偶然だよな?
嘘だろ.....!?
俺は青ざめながら考える。
しかしこれだと確かに合点が一致する。
レコは13年前に事故に遭遇して親族などに引き取られ。
何かのきっかけで捨てられた、という事だろう。
しかしこの名前と顔写真.....俺はこの一家を見た事がある。
それは確かに12年前の話だ。
キャンプに行っていて.....それでそこで偶然会った女の子と少しだけ仲良くなった。
名前は分からないがその女の子にこう言われたのだ。
「またあおうね。もしあえたなら.....」
もしあれがレコだとするなら。
レコは.....キャンプの帰り道でこんな悲惨な目に遭っていたのか.....。
俺は悲しくなってから新聞記事から目を外す。
それから新聞を元の位置に戻す。
そしてまた顎に手を添える。
何でレコはこんな重要な事を黙っていたのか.....。
よく分からないが.....訳アリなのだろうけど。
「.....」
俺は考え込む。
するとドアが開いた。
そしてパジャマ姿のレコが入って来る。
お兄たん、と言いながら。
俺はお兄たんではないが.....。
「レコ。.....お前.....悲惨な目に遭っていたんだな」
「.....ああ。記事を見たの」
「.....そうだな.....」
「一家というか.....弟もお母さんもお父さんも死んだけど.....私だけ生きてたんだ」
「.....」
それで5歳の時に会っていた、と言ったんだな、と俺は告げる。
すると頷いたレコ。
そして、私とお兄たんだけの秘密にしていて、と言ってくる。
お兄たんでは無い。
「.....正直......お姉ちゃんはお姉ちゃんで自分の事で悩んでいるから」
「.....そうだな。母親の事で、だな」
「そう。何よりもあの人を愛していたのはお姉ちゃんだから」
「.....そうだな.....」
俺は納得しながら。
そのまま、お風呂空いたか、と聞く。
うん、とレコは頷く。
俺はその姿を見て、分かった、と返事しながら入る事にする。
するとレコが抱きついてきた。
「私は優勢だから。.....忘れないでね」
「.....レコ.....」
「.....だけど.....お姉ちゃんの事も愛してあげてね」
「.....お前本当に優しいよな」
うん。だって私達は家族、と満面の笑顔を浮かべるレコ。
俺はその姿を見ながら、そうか、と頷く。
そしてレコの頭を撫でようとした、のだが。
レコは、でも、と言った。
「会いたいようぅ.....お母さんに.....達に.....お父さんに.....」
「.....」
「家族は大切だけど.....大切だからこそ苦しい」
「.....レコ.....」
「凄惨な現場を見た.....」
「.....」
俺はレコを抱きしめる。
レコは涙を流して嗚咽を漏らした。
そのレコは俺にしがみ付く様に泣き続ける。
亡くなった家族、だな。
俺も分かるよレコ。
お前と俺だから分かる事があるんだ。
「.....俺も親父を亡くしたから。.....良くわかる。お前の気持ち。.....だからお前に優しく出来るから」
「.....有難う.....エイちゃん.....」
「お前と俺も.....そしてナコも.....痛みがあるから.....」
「.....そうだ.....うん。エイちゃん.....」
レコは涙を浮かべながらだったが。
それでも何とか笑みを浮かべる。
俺はその姿を見ながら少しだけ笑みを浮かべる。
そして今度こそレコの頭を撫でる。
「.....だから好き。私は.....エイちゃんが」
「.....改めて言われると恥ずかしいもんだなって思う」
それから暫くレコと抱き合っていると。
レコが、ふっふっふ、と言い出した。
そして俺を見上げてくる。
キラーンと目を輝かせて、だ。
俺はハッとした。
お姉ちゃんが来ないから.....ね?、と言いつつ俺の背中を弄る。
オイオイオイ!!!!?
今の良い雰囲気が台無しだ!
「そこにベッドもある」
「何言ってんだ!.....きゃー!」
それから叫び声を聞いたナコが救済に入ってから。
取り敢えずはそのえっちな行為は収まった。
俺はその中で。
ナコとレコをもっとしっかり見てやらないとな、と思った。
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