第8話 友比良の幼馴染であり風紀委員であり不純異性交遊を許さない女の子

ナコとレコが転校して来てから。

俺の許嫁という馬鹿な事を言ってから。

2人は女子達の男子達の質問に答えていた。

ごっちゃになっている。

俺はその光景を見ながら友比良と久仁子を見る。


「いやー。人気者だねぇ」


「そうだな。.....まあ.....可愛いし美少女だしな」


「お?それは自慢か?殺すぞハゲ」


「やってみろやこのクソバカが。殺す」


俺達はそんな会話をしながら。

クスクスと笑っていた。

そんな友比良の容姿だが。


言いたいので言わせてもらうと制服を着崩している不良だ。

オレンジ色の髪をしている。

だけど彼女は居ない。

どういう事かというと.....コイツあれなんだ。

女性に迫る根性が無いのだ。


「つーかさ。.....あの美少女姉妹の許嫁ってマジか?」


「まあそうだな。確かに俺は許嫁だ。.....だけどアイツらはあくまで許嫁と言い張っているけど俺はどっちも選択してない」


「それはつまりアタシを選択する意味で?」


「何でそうなるんだ。お前に恋でもしていると言いたいのか俺が。そんな訳ない」


「それはそれでショッキング!」


ああ!、と顔を覆う久仁子。

まあコイツも美少女だしなぁ.....。

運動系の、である。

俺はその事を考えながら久仁子を苦笑しながら見る。

そして俺は目の前のナコとレコを見る。


「お前さん。.....選んでないってのはおかしく無いか?ナコちゃんとレコちゃんが可哀想だろ」


「.....いやまあそうだけどさ。.....俺は選べないんだよ。どっちも良い子だしな」


「ああ。そうなのか。そういう意味でな」


「.....そうだ。.....だから俺は今は選べない」


「贅沢な悩みだね。まるで大きなプリンアラモードと大きなホールケーキを選ぶ様なそんな感じ!」


「食い意地ばかりかお前は」


だって美味しいじゃん、と言いながら俺を見てくる久仁子。

相変わらずの八重歯を見せながら、だ。

するとナコが、英治、と寄って来る。

どうした、と聞くと。


「学校案内してよ」


「私も」


「.....ああ。成程な。じゃあ学校を案内しようか。どうせ.....中休みだし」


「じゃあ俺も付いて」


そこまで言ってから。

口を抑えられる友比良。

久仁子に黙らされたのだ。

俺はその姿に苦笑いを浮かべながら2人を見てから歩き出す。

久仁子は手を振っていた。


「久仁子と仲が良いね。英治って」


「そうだな。古い友人だ」


「私達よりも出来たらどうする。色々と」


「そんな事をされても俺はお前らしか見てない」


そんな事を言うと。

ボウッと火がついた様に赤面した2人。

ふえ、と言いながら、だ。


お前らが切り出した癖に何やってんだよ。

俺は思いながらポケットに手を突っ込んで歩く。

すると右にナコ。

そして左にレコが腕を絡ませてきた。


「おいこら!?」


「だって英治の事が好きだから」


「エイちゃんは私達のもの」


「馬鹿な事を言ってんじゃない!離れろ!恥ずかしいんだっつーの!」


俺は暴れるがナコもレコも決して離さなかった。

すると、コラー!!!!!、と大声が。

何だ、と思いながら背後を見ると。


風紀委員と書いてある腕章を身に付けた女子が。

というか黒髪の長髪の美少女が俺達に指差してくる。

な、何だ。


「不純異性交遊!」


「.....はい?」


「.....誰ですかね」


「私の名前は高橋裕子!(たかはしゆうこ)!不純異性交遊を見掛けたから話し掛けました!.....こういう場所でいちゃつかない!」


「.....ほほーう?風紀委員.....」


ナコがニヤッとしている。

通りすがりのクラスメイト達は、まーたやってる、とクスクス笑っていた。

成程な。こういう性格なんだな、と思う。

するとレコが少しだけ不愉快そうに、別に良いじゃ無いですか、と言う。


「駄目に決まっているでしょ!私は許せないから!」


「いや.....だから」


そんな説得をしていると。

高橋はむむっと声を発した。

そして、こら!、とまた声を発する。

その相手は.....トイレに向かっていた友比良だった。


「.....何だよ裕子」


「アンタね!和樹!良い加減にその服装整えて!」


「やだねったらやだね♪」


「演歌みたいな事を言わない!良い加減に.....」


知り合いなのか?、と思っていると。

ニヤァッとナコとレコが悪い笑みを浮かべた。

そういや.....赤くなっているな、と気が付く。

まさかな、と思う。

そしてナコが切り出した。


「いやー。そういう割には高橋さんは好きなんですね?友比良君が」


「ですなぁ」


「.....は!?ふぁ?.....ば、馬鹿な事を!?」


「不純ですなぁ」


「確かになぁ」


ニヤニヤするナコとレコ。

何だか知らないが.....俺もう帰って良いのかな。

思いながら顔を引き攣らせる。

それからあわあわする高橋を見る。

友比良に聞いた。


「お前友比良。.....何か?高橋と知り合いか」


「幼馴染だぞコイツ。それがどうした?」


「.....ほほう。それは.....」


「.....何だ?裕子って俺に恋でもしているのか?真面目野郎が?まさか」


「.....ああまあその点は知らん。お前が何とかしろ。その点は」


とにかく.....まあ。

風紀委員の弱みを握ったな。

俺達は考えながらその場から後退り。

そのまま逃げる。


走って逃げる。

高橋は、ちょ!?まだ話は終わってないわ!、と言ってくるが。

構わず笑いながら逃げた。


「アハハ。楽しいね。この学校!」


「そうだね。お姉ちゃん」


「.....まあそうだろ」


そして俺達は中庭に逃げて来た。

それからゼエゼエ言いながら.....空を見上げる様に寝っ転がる。

全くな、と思いながら、だ。

思いながらナコとレコを見た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る