第5話 内緒だよ?

ナコとレコだが。

何方も怖い人間は嫌いだ。

というか苦手なのだ。


俺はその事をずっと前から知っている。

そもそも俺が.....いや。

昔.....俺達が幼い頃に祭りに行った時。


その時にナコとレコが訳の分からないおっさんに絡まれて怒られたから。

本当に頭おかしい怒鳴り散らす様な。

それから怖くなったのだ。

俺はその事を.....思い出しながらナコを守った。


「有難う。.....英治」


「.....気にすんな」


「.....怖かった。.....路地裏にはあまり行かない方が良いね」


久仁子と別れて帰宅していると.....そんな言葉をナコが言ってきた。

俺はその言葉に頬を掻きながら、まあなんだ、と言いつつナコを見る。

そして笑みを浮かべてナコの頭を撫でた。


「気にすんな。とは言えないけど.....でも楽しかったから良いじゃねぇか」


「.....英治.....」


するとナコが俺に抱きついて来る。

それから俺の心臓の音を聞く様に胸に手を添えた。

俺は真っ赤になりながら、ど、どうした、と聞いてみる。

ナコは、10年前の言葉.....覚えてる?、と聞いてきた。


「.....10年前?それは告白の事か」


「.....あ。覚えていてくれたんだね」


「.....当たり前だろ。ナコかレコか分からんが」


「エヘヘ。それは姉妹の特権。私達のどっちが告白したかは内緒だよ」


「いやいやお前な」


だってそうでしょ。

私は.....恥ずかしい。

その事は今でも恥ずかしいから。

だから内緒だよ、と言ってくるナコ。

笑顔を浮かべながら。


「.....心臓。暖かい。英治の.....感触が.....暖かい」


「離れてくれ。.....恥ずかしいから」


「.....もうちょっとこのまま.....」


住宅街で何やってんだ俺達は?

思いながらもそのままナコに抱きつかれながら。

そのままで居た。

ナコが抱きつくのを飽きるまで、だ。

ん?そういえば.....レコは大丈夫なのか?


「なあ。ナコ。レコは?」


「.....あ。先に帰ってるって」


「ああそうなのか。さっきメッセージが?」


「うん」


そうか、と言いながら俺はホッとする。

レコすらも絡まれたりしたら、と心配になる。

良かった、と思いながら俺はナコの頭を撫でる。

そして、じゃあ帰ろっか、とナコが離れて言い出した。


「そうだな。.....ナコ」


「.....ねえ。英治。お礼をしてないよね。私」


「.....そうだな。いや要らねぇよそんなもん。ほぼ久仁子が片したしな」


「じゃあせめてもの」


そう言いながらナコは背伸びした。

そして俺の頬にキス.....を!?

俺は盛大に真っ赤になる。

それからナコを見る。

頬を抑えながら。


「何やってんだ!?」


「.....エヘヘ。私、パンツとか見せるのは大丈夫だけどこういうのは恥ずかしい。今だったら出来るから。やった」


「.....お前なぁ......」


「英治。愛してる」


「.....それは本心か?」


「さて。何方でしょうか?」


はぐらかす様に彼女は掛けて行く。

俺はその姿に何も言えずそのまま頬を摩りながら。

恥ずかしい、と思いつつ歩く。

するとナコが俺に向いた。


「.....ねえ。英治」


「.....何だ?」


「私と.....レコ。最も好きだとしたらどっちが好き?」


「.....申し訳無いがその回答は出来ない。.....俺にとってはお前らは2人とも大切だからな」


「.....そっか。嬉しい。英治」


当たり前だが俺にとってはナコもレコも大切だ。

だから何の回答も出来ない。

俺は考えながら鼻歌を歌うナコを見る。

その姿を見るだけで.....とても幸せだった。


「英治」


「.....何だよお前」


「.....助けてくれて有難う」


「.....だから助けてないってばよ」


「いや。私を隠しながら立ち向かっただけで.....もう助けた意味になってる。.....だから嬉しかった」


その姿を見ながら俺は恥じらいながら頬を掻く。

それから俺達は家に帰って来た。

そして玄関を開けると。


そこにメイド服になったレコが。

胸元は強調されてないが.....その。

スカート短い!!!!!


「お前!レコ!スカートが短すぎる!」


「レコ!良いね!私もそうしようかな」


「馬鹿な事を言うんじゃない!パンツが見えるって!」


「エイちゃん。パンツTバッグ」


「はぁ!?」


スカートを翻してそして赤いTバッグがチラ見した。

俺は思いっきり赤面しながら鼻血が出る。

このクソッタレ姉妹が.....。

思いながら居るといきなりレコがジト目をした。

ところで遅かったけど何していたの?2人で、と聞いてくる。


「.....ああ。そうだな。まあ不良に絡まれてからの、だよな」


「.....だね。後は諸々」


「お姉ちゃん。諸々ってのは何かな?」


「内緒。アハハ。私達だけの内緒」


「.....エイちゃん」


「あ、はい」


そうやって浮気したら泣きます、と言ってくるレコ。

それ完全に脅し文句だよな?

俺は顔を引き攣らせながらも。

ナコがレコの手を握る。

大丈夫。英治にされた事は今度全部話すから、と誤解の生むような発言を.....した。

ウォラ!!!!!


「ナコぉ!!!!!」


「アハハ!」


そしてそんな感じで日は落ちていく。

それから俺達は当番表に従って動き出した。

洗濯、買い物、炊事。

そんな感じで動く。

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