第4話 朗報)不良に絡まれるも友人が救ってくれた

逃げてしまった。

と言うか悪いのはナコとレコだろ。

俺は思いながら咄嗟に持った財布と携帯を持ちながらブラブラと街中を彷徨う。

暑いなぁ畜生。

何てこった7月だというのを忘れていた。


「困ったもんだなぁ.....ん?」


駅前に来ると出入り口付近に所謂レモネードスタンドがあった。

レモネードスタンドとはつまり癌とか病になった子供とかを支援する為にあるとされている.....が。

まあ俺の知識だけど。

博識では無いのでもしかしたら違うかもしれない。

考えながらそのレモネードスタンドを見ると。


「あっれ?えーちゃんだ」


「.....?.....お前何してんだ?」


そこに八重歯の特徴的な褐色の肌をした何というか。

それなりにスポーツに勤しむような短髪の黒髪の少女が居る。

ボブヘアーで店員の制服の様なものを着てレモネードスタンドに居る。


スパッツとか履いているし活発だな、と思うが。

名前は山部久仁子(やまべくにこ)である。

同級生であり友人である。

因みに趣味は人助け、であるが。


「エヘヘ。レモネードスタンドで.....大切な人を救いたいからね!」


「お前自身がW◯Oだな。本当に」


「え?いや。私は病院じゃないよ?」


「そういう意味じゃねぇ」


「ほほー.....う?」


意味不明、と言う猫の様な難しい顔をするポンコツ久仁子。

俺はその姿に苦笑しながら、まあ良いけどさ。レモネードくれよ一杯、と言う。

すると久仁子は、はいさーい!アザース!、と笑顔を浮かべた。


活発だなぁ.....。

思いながら500円の金額を支払ってレモネードを貰った。

毎度あり!、と笑顔を浮かべた。


成程な。コイツ一応美少女だからなぁ。

この笑顔に野次馬が出来るワケだ今現在、男の。

すると久仁子はニコッとして俺を見てきた。


「でさー。えーちゃんや」


「.....何だよ」


「あの真黒なオーラを出す女性は何かな、だい?」


「.....は?あのじょ.....」


何の事や、と思いながら俺は指差す方角を見る。

そこにナコが.....ドス黒いオーラで、ぶ・ち・こ・ろ・し確定ね、的な感じで仁王立ちで立っていた。

コイツは何か?何処ぞのアイテムかな?

俺は一気に顔を引き攣らせて青ざめてから。

久仁子。すまん。俺は逃げなくてはならない、と説明した。


「レモネード美味しいぞ!有難うな!」


「えぇ!?行っちゃうの?って言うか誰ぞ!?」


「説明は後だ!すまない!」


待てー!!!!!、と言う声に俺は逃げる。

まさに運動不足の足で、だ。

何か捕まったらマジに殺されるかもしれん!


俺は思いながらレモネードを水分補給の代わりにして逃げる。

そして俺は.....壁際に追い詰められた。

路地裏だ。

い、行き止まり.....だと。


「.....エヘヘ。逃げられないねぇ」


「.....待て!レベル5!お前は俺にメルトダウンのレーザーを打つつもりか!」


「何を何処ぞのラノベみたいな事を言っているの。.....お兄ちゃん?」


「都合の良い時だけお兄ちゃんと.....貴様!」


「えっへっへ.....此処なら人が来ないねぇ」


しばき倒す事も出来るしえっちな事も出来るねぇ.....、とナコは笑顔を浮かべる。

まさに戦うメイド服で、だ。

は、恥ずかしさとかそう言うのは無いのかコイツには!

慈悲をくれ!


「ねえ。お兄ちゃん」


「.....な、何だ」


「あの女の子は誰かな?そして.....何故私達から逃げるの?」


「言うと思った。.....あの女の子は俺の友人だ。それ以上でもそれ以下でもない」


「.....じゃあ私とイチャイチャしたく無い理由は?」


「お前何言ってんの?」


いやもう頭が沸いてる?

俺は思いながら壁際まで追い詰められてそのまま見上げられる。

胸の谷間に汗が伝っている。

エロすぎるのだが。

思いながら俺は見下ろす。


「レコには内緒で何かしようか」


「.....な、何をする気だ」


「何でも」


「おまわりさーん!!!!!」


ちょ!卑怯だよ!、と大慌てになるナコ。

するとその声につられて。

ああん?、と声がした。

金髪刺青の不良が2名出てくる。

何だ?、とか言いながら。


「お?めっちゃ可愛い女が居るぜ」


「そうだな」


するとナコはその姿にビクッとしながら俺の背に隠れる。

そしてブルブルと震えた。

ああ.....懐かしいな。

こういうのが、だ。


「いや。邪魔なんですけど。お前何?彼氏?ならその彼氏枠俺がやるから退いてくれるかな?」


「いやいや。何言ってんすか。俺は.....」


どう言えば良いんだ?

彼氏?彼女?いや。

違うか、と思いながら俺は前を見る。

彼女は大切な幼馴染なんで、と言ってみる。


「そんな訳あるか。お前と?馬鹿な事言うな」


「.....マジですけど?」


「.....まあどっちでも良いけどさ。じゃあその女くれよ」


「.....」


あーもう。

遊んでいたらこのザマかよ。

俺は思いながら、面倒臭、と考えながらそのまま不良2名を見る。

殴られるかもな、と思いつつ突撃の覚悟を取る。

するとそんな俺達の背後から、良くやったね!、と声がした。


「.....あ?」


「何だお前?」


そこに何故か知らんが久仁子が立っている。

そしてどっから持って来たのかマント?の様なものを身に付けている。

何やってんだコイツは、と思いながら見ていると。

そういや久仁子って、とハッとして思い出した。


「何だテメェ?コラ」


「何だコイツ。結構可愛いじゃねぇかよ。ならお前から.....!」


そこまで行った瞬間。

隙を見て思いっきり1人を背負い投げした。

そして地面に叩き伏せる。

やー!、とか言いながら、だ。

あちゃー.....。


「な、なんだこのアバズレが!クソッタレが!」


「正義の味方!久仁子マンの登場だ!私の友人に手を掛けるとは成敗!」


んでもう一人の不良に思いっきり腹に正拳突きした。

そして不良2名は気絶する。

その場で、だ。

いやお前.....その技は柔道なのか空手なのかハッキリしろ。

と突っ込みたかったが。


「まあ助かった。すまんな。黒帯ちゃん」


「えっへん。まさか追跡して来たらこのザマよ。良かった間に合って」


黒帯がこんな所で役に立つとはな。

腰に手を添える久仁子。

それを見てから奥でブルブルと青ざめて震えるナコに俺は、もう大丈夫だ、と声を掛けてみる。


するとナコが思いっきり俺に飛び付いて来た。

それからまた震える。

怖かった、と言いながら。


「ふむ。えーちゃんさんや」


「.....何で候?」


「その子は何者ですかなで候」


「端的に言うと許嫁かな」


「.....マジで!?」


久仁子は顎が落ちる様に唖然とする。

嘘に決まっているだろお前。

今はちげぇよ。


まあ冗談が冗談に聞こえなくなる馬鹿だけど。

本当に良い親友を持ったな俺は。

そう考えてしまう日だった。

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