第20話 ファ!?
自分たちの父親を監視しだして3日ほど経った。
日本軍ゲシュペンスト撲滅委員会もとい、我ら雷切は目を皿のようにして40代
おじさんの軍務生活を観察してきたわけだが....
「うん、なんか怪しいところ全くないね」
「怪しくないのが逆に怪しい」
「それ、みんな怪しいってことになるよ?」
「お父様に限っては、そんなボロを普段の生活で出さないわよ!」
「ビオラで覗いて視ても魔法力は検知できないしなぁ」
ビオラ。俺が開発した魔法力検知ゴーグルだ。
見た目は青い透明なゴーグルで、目にかけて物を見れば魔法力を視認できる。
作るのがおもしろかったので、どのくらいの魔法力なのかを数値で検出する機能も入れてみた。
魔法力0........。
大倉礼厳は、本当にただの日本人。魔法を使えない一般人だということが判明した。
「ゲシュペンストと関わりがあるなら、魔法力は絶対に検出できるはず。けど見えない。まぁこれはもう白という他ないな」
「....ねぇ、本当にお父様に突撃するの?もうちょっと様子を見たほうが」
「いーや、限界だ。行くね!!」
「はぁ。。。わかったわよ。私も一緒に行くわ」
「久しぶりだね礼司。会うのは半年ぶりくらいかな?」
休学し、日本軍の兵器開発部門に入らされてから父さんとは全く会っていなかった。
LINEで何回かやりとりしたくらいだ。
まぁ、実を言うと父さんは少し苦手だ。その理由は後日教えよう。
「久しぶりですね。今日は折り入って聞きたいことがありまして」
「会いたいと言うから驚いたよ。ジパングに拉致されたのは本当大変だったね。どうしたんだい?」
礼華は俺の後ろでじっと黙って睨んでいる。
ここは兵器開発部の司令室。私用に使っていい部屋ではないと思うんだが、とりあえず公私混同させてもらった。
何かあった時のために、四条さんには部屋の外にいてもらっている。
親子水入らずの方が口が緩むかなと思いまして。
「父さんはジパングのことをどこまで知ってますか?」
「うーん、難しい質問だ。けど礼司が向こうで見てきたことと同じくらいのことを知っている、という回答になるかなぁ」
「実際に行ったことがあるんです?」
「少しだけね。とある事情で行く機会があった」
「初耳ですね。まぁ、単刀直入に言うと、父さんの知ってることを全部教えて欲しいんですよ」
「………」
急に沈黙が流れた。
昔からそうなのだが、この人は本当に謎の人だ。
俺と礼華が質問して、ちゃんとした返事が返ってくるのが稀な人なのだ。
だからぶっちゃけ返答には期待していなかった。
「そろそろ、話す頃合いか」
「「……!?」」
俺と礼華は2人で目を合わせて驚いた。
「いや、ずっと隠している気はなかったんだよ。礼華と礼司が大人になるまで、話すタイミングをいつにするかを考えてただけでね」
「どう言うことです?」
「礼司。君の出自についてのことだ」
「?俺のことですか?いや、俺はジパングのことを聞きたいんですが」
「だからだよ」
一体どういうことだ。この人もついに年か?加齢?
「お、お父様。もしかして、、、」
「あぁ。礼華。君の想像する通りだと思うよ」
「おいおい2人とも。どういうこと?何を話してるの?」
「礼司。君は日本人ではない。本当はジパング人なんだよ」
「ファ!?」
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