第19話 はっきりわかんだね

みんないろんなことを振り返ってみてほしい。


なぜ俺が武器を作ることになったのか?


俺は軍に半ば無理やりに近い形で放り込まれ、兵器開発を強要された。


そしてジパングに拉致された後、今度は礼華が日本軍総司令に抜擢された。


俺が日本軍に入れられたのは、スカウトみたいな形で呼ばれて放り込まれたって感じだ。(まぁそれは建前で、単純に父親が軍に入れたのだ)


いってしまえば赤紙みたいなものだから、まぁそれは100歩譲って良しとしよう。


しかし、礼華の件はあまりにも突飛すぎるのだ。


妹は21歳だ。


21歳で軍隊のトップを務める?現代ではまずありえない。


よっぽどの事でない限りそのようなありえない人事は起きない。


そのよっぽどを起こしたのが、俺たちの父親。


日本軍兵器開発総司令。大倉財閥会長である大倉礼厳おおくられいげんだ。





「俺に降りかかる災難、理不尽な命令も全部あの人の差し金なんじゃないかって俺はずっと疑ってるよ」


「そういう気持ちになるのもわかるけど、あんまり父親を悪く言うものじゃないわ。兄さん」


「あの、、お二人のお父様はそれほど厳しい方なのですか?」


四条さんがどう聞いていいものか困っている。


「厳しいっていうか、話が通じないっていう感じというか」


「お父様に頼まれるとなぜか断れないのよね...。うまく言えないんだけど」


「な、なるほど」


「とりあえず父さんをまずは調べて、白か黒かはっきりさせておきたい」


「どうやって。まさか、あなたはゲシュペンストですか?って直接聞いたりしないわよね?」


「聞く」


「は?」


もし父さんがゲシュペンストだった場合、その場で俺たちが殺されるか、向こうが逃げるか、はぐらかすかするだろう。


逃げられる、っていう可能性ももちろんあるんだけど、はっきりさせておかないとなんだかむず痒い。


「兄さん。流石にそれは賛成しかねるわ。リスクが大きすぎる。お父様がゲシュペンストだった場合、そもそも私たちが命を失う可能性があるわよ。ジパング人を苦しめる天敵なのよね?私たちが個人で敵う相手じゃないわ」


「父さんは確かに死ぬほど怪しいんだが、もし父さんが白で味方につけることができた場合、メリットがめちゃめちゃでかい。軍の内部を精通してるし、人だって容易に動かすこと可能だろう。リスクはもちろんでかいんだが、味方に引き入れた時のアドバンテージが死ぬほどでかい」


「無理よ。お父様が私たちの言うことを大人しく聞くと思って?それは理想論よ。もっと現実をみなきゃ」


「現実的に考えて、だ。俺たち3人でコソコソ動いても、軍の中でバレずにやり遂げられるか?協力者を得ないと無理だよ」


「けどお父様にいきなり聞きに行くのは、流石にちょっと....」


「聞く前に、問題ないかどうかじっっっっっっっっくり監視したい」


おそらくゲシュペンストではない、と普段の行動を見て判断できたら聞けば良い。シンプルな話だ。


「ゲシュペンストは魔法力がないと視認できないのよね?普段の行動を監視して、白か黒か判断がつくものなの?」


「ふっふっふ.......」


その話が出ると思った!


俺は不敵な笑みを浮かべ、例のものを取り出した。


「こいつを使えば見えるようになる。はっきりわかんだね」









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