第18話 どう考えてもこいつだろ!!!

「だっっっっっっっさい名前!センスない!中学生か!!」


と、礼華に散々文句を言われ、しかし他にいい案がなくスタートした我らチーム雷切。


四条さんには絶賛されました。さすがわが嫁。


ぶっちゃけ、礼華には内緒でリリーと内通して日本軍の情報を流していたことを激怒されると思っていた。


が、どうも礼華はそれは予想していたらしい。


むしろ、リリーと俺を繋いだままにしておき、ジパング側の情報をとり、連絡が取れる状態にすることを計画していたらしいのだ。


「兄さんがリリーと繋がっていれば、いざって時に向こうを動かす手段が増えるでしょ」


「じゃあなんで干渉NGっていう条件を?確信犯か?」


「立場上、ジパングに厳しいスタンスを取る必要があるのよ。総司令ですからね」


「体裁は守りつつ、敵の情報を得つつ、いざと言うときは利用する。なるほどねぇ」





ゲシュペンストを暴き出す日本軍内秘密結社雷切が始動して3日目。


チーム雷切の定例会議は3日に1回。


今日はその初回である。


「すでに知ってると思うけど改めて、日本軍の最高幹部のことを説明するわ」


・大総統

・副総統

・日本軍総司令(わたし)

・兵器開発総司令

・財務総司令

・人事総司令


礼華は総司令室のホワイトボードに上記のように書いた。


「日本軍はこの6人が全ての指揮を取っている。最高権力は大総統が有している」


「普通に考えたら大総統がゲシュペンストだよなぁ。なんでもできるし」


「そうね。ここを抑えたら大体のことはゲシュペンストの思いのまま」


礼華はそのままそれぞれの役職の説明に入った。


「大総統はすべての決定権を持っている。まぁ、言ってしまえば大総統以外の人からきた計画書とか作戦案にOK、とハンコを押す人ね。却下されたら案は通らない」


「副総統の役割は?」


「副総統は、なんらかの状況で大総統が不在の場合に大総統の権限を行使できる。あとは大総統の補佐。アドバイザーという感じのポジションね」


「なるほどねぇ」


これもなかなかいい役職だ。


大総統に近いから、ゲシュペンストがここをとれば間接的に大総統を操作しやすい。


「日本軍総司令は、日本軍すべてを動かすことができる権限を持っている。まぁ私の事ね。例えば、千葉の日本軍を1万ずつ東京に動かすとか、進軍させて栃木のジパング領を攻めるとか。軍にまつわること全部。大総統からOKがでればそれを行使できる」


「毎回大総統に確認とらないといかんの?」


「その通り。めんどうだけどそれがルールなの。けど現場での判断は大総統からほとんど任されてるわ。大総統、細かいこと決めるのが嫌らしいの」


総司令といえど、実はそういう制限があるのね。大変だねぇ。


「まぁ、残りはあとは文字のとおりね。兵器開発総司令は日本軍の兵器開発を管理する人。兄さんはこの部署に所属しているわね。財務総司令は軍のお金の管理ね。人事総司令は人の管理。だれをどこの役職にするとか、人が入るとか辞めるとか」


一通りの説明が終わった後、目下いっっちばん気になっていることを話す時が来た。





「まぁ、大総統とか副総統も怪しいとは思うんだけど」


「ええ、そうね」


「俺的に、他にどうしても怪しすぎる人がいるんよね」


「あら兄さん。同感ね。私もよ」


俺はホワイトボードののところへ指をさした。


「どう考えても、怪しいよなぁ」


「この人がゲシュペンストだった場合、なんというか、いろんなことの辻褄が合うことが多いのよね」


「??? 兵器開発総司令?なぜでしょうか?」


「あー、四条さんには言ってなかったか」


礼華は兵器開発総司令のうしろにペンでかっこを付け足して名前を書いた。


「兵器開発総司令(大倉 礼厳れいげん)。私と兄さんの父親です」


「え!?」


「どう考えてもこいつだろ!!!」






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