第9話 ぉーん???


頭がぐったりしている。


あの、俺じゃない俺が勝手に喋ってる感覚が本気でキツイ。


例えるなら、眠って夢を見てる時に自分の意思とは関係なく暴走してる自分を見てるような感覚って言ったらいいか。。


恍惚と冴えわたる頭が、ただひたすら独り歩きしてるみたいな。うーん、伝わらん。


あの状態こそ、どうやらディオスが言っていた魔法で「操作」されてる状態らしい。


自分の意識がある状態で見る時もあるし、意識がない状態で勝手に身体が動いてる時もある。


そしてどうやら、ディオスは俺の何かを覚醒させたようだった。




「やはり、お前にはすごい力が眠っていたらしい」


完成したデンドロビウム魔法銃。横幅1m縦幅40cm奥行15cm。


銃弾は魔力を込めるエネルギーカートリッジ式。魔力を100%こめれば結構撃てる。


それが約100丁量産され、俺とディオスの目の前に整然と並べられている。


「よくたった10日でこれだけ量産できたもんだなぁ」


「お前の設計図の出来がよすぎたのだ。材質も安価でどこにでもあるものだった」


「あのさ、お前の操作魔法かけられるとマジで自分で何してるのかわからんくなるんだって。だから俺はなにもやってないに等しいわ」


「オレの精神操作魔法は、ごく稀にだが副次的効果がある」


それが今回俺が覚醒?した理由だった。


「精神操作魔法は、ジパング魔法六系統のうちの生命系に該当する。精神を操作する際、ごくまれに対象者の潜在能力を引き出すことがある」


「六系統?ほかにもあるの?血液型的なやつ?」


「血液型?なんだそれは。ジパングでは生まれ持った魔法の才能が人にはあり、それが6つに分類される、という教えがある」


「ほほー。おもしろいね。その、生命系ってやつ以外には他になにがあるのよ?」


「元素系、物質系、降霊系、改変系、特異系だ」


「どっかの漫画にでてきそうな設定だな」


「どうやらお前には...おそらくだが、生命系の素養があるようだ」


「え?俺に??」


流れ変わったな。


極めて凡人。24歳、(元)学生です。を貫いてきた俺だったのだが。


「精神操作を行うと、お前の知能が飛躍的に向上したように見えた。知能強化は、生命系の一種だ」


「最強やん。え、それってやろうと思えば、俺はその知能強化をいつでも使えるの?」


「訓練すればそうだ。しかし、自在に使いこなすには長い時間がかかる。ジパング人は、自身の系統魔法を自由に使えるようになって初めて成人として認められる」


へぇー-----------------。おもしろー。


ってことは、例えば3歳とか10歳とかで使えるようになったらもうそれで成人か。


「魔法武器は100丁揃った。これで明日、我々は群馬を奪還する」


「え、明日?なんだよ。やけに早いなー」


「そうだ。前線がじりじりと押されている。リリー様が指揮をとり、明日大規模な作戦が開始される」


「おお、そうか。まぁがんばってくれ~」


「お前にも前線に来てもらう」


「ぉーん???」

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