第8話 そうでもない


はい、できませんでした。無力化兵器。


色々考えたけどさ。


考え方変えたけどさ。


操作魔法を銃に組み込んでぶっ放すとか、睡眠ガスを凝縮して魔法弾に込めるとか。


やろうとしたけど、どれもどうしても形にできんかった。


俺ってば、やっぱりそのくらいの実力なのよ。みんな期待しすぎ!無理!帰る!!


「約束の1週間だ。武器を見せろ」


「はい、できませんでした。では、俺は国に帰らせていただきますね...」


「dfsghkgl・siugalpagadlsa;faadgga・slljfhhkasdala:発動」


「ファ!?」


よくわからん詠唱?のあと青髪野郎が魔法を発動させた。


そもそもこの人、名前なんだっけ...。


「オレの名前はディオスだ。言ってなかったか。そしてお前はこれからオレの言いなりになる」


ディオスの赤眼が光輝き、赤いオーラが俺を包んだ。


なんかもうよくわからん。そうだ。連れてこられた時もこんな感じだった。


頭が...ぐるぐるで、意識が遠くへ....。





「はっ!!」


「ふむ、大したものだ。お前にこんな才能が眠っていたとはな」


目が覚めた俺の目の前に、何かが置いてある。


「新型魔法兵器。デンドロビウム。持ち運び可能なロケットランチャーで、任意の場所へ眠りの雨を降らせる」


別に何も意識していないのに自分の口からスラスラと言葉が出てくる。なんだこれ。


「使用者は、魔力をこのデンドロビウムに充填し、トリガーを引いて上空に発射するだけでいい。そうすると、放った上空から敵陣全体を眠らせる魔法の雨を降らせる」


「相手が建物の中にいたら使い物にならないぞ?」


「問題ない。この雨は物質を貫通する。魔法の雨は建造物の鉄骨やコンクリート、木造を貫通し、半径1kmの範囲でほぼ100%そこにいる人間に当たる。建物/服のない場所での雨を想像してくれ。1滴でも当たれば相手は深い眠りに陥る。放たれた後、日本軍に回避の手段はない」


「上空の敵に対しては?」


「ヘリや戦闘機に対しては、ミサイルモードに切り替えて発射する。そうすると、対象に向かって眠りの魔法ミサイルが追従する。これも避けようがない。魔法を使っているので、フレアやチャフも意味がない」


「眠ったまま墜落か。人道に反するが致し方ない」


「そうはならない。ミサイルモードは相手の意識だけを奪い、こちらに操作権をもたらす。飛行機の操縦権は、使用者が得る」


「日本軍がこちらに向かって全軍白兵で突撃してきたらどうする?雨では対処が遅れるぞ」


「最後のモード。ミニガンモードで敵を一掃する。毎分2,000 - 4,000発の魔法弾を発射してその場を制圧できる。これも眠りの魔法を利用するため、殺傷力はない。着弾した相手を無力化する」


「おぉ。。ではこれを5台ほど部隊に配備できればこれを防ぐ手段はないな。素晴らしい」


「残念ながら防ぐ手段はある」


「む...?」


そうだ。ある。日本軍にはアレがあるのだから。


「サイサリスだ。サイサリスをこのデンドロビウムを配備した部隊へ放たれると、壊滅する。相手にジパングの配備情報が漏れると危険だ。それは私にはどうにもできない」


「ふむ。それはオレがなんとかしてみよう。上々だ。大倉、やはりお前は天才だな」


「そうでもない」

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