第7話 考え方を変えろ


「領主...一番偉い人ですか」


「そうです」


「無力化、と言いましても。殺すよりも難しいですね」


「私は、日本人を殺したいとは全く思っていません。むしろ日本の方と仲良く、平和に共存したいと思っているのです」


穏健派ってやつか。


日本人にもこういう思想派は存在する。実は自分もこの派だ。争いなんてしたくない。


「まぁ、、確かに無力化できたら戦争はワンチャン、止まるかもしれないですけど。うーん、けど殺さず無力化かぁ。。」


「無理を承知でお願いしたいのです。日本軍の戦力を飛躍させたあなたなら、私はできると信じています」


「そりゃいくらなんでも買い被りすぎですかねぇ」


「ふふ。開発研究のための施設には話は通してあります。あとはあなたの善意に任せます」




そこからすぐ、俺の返事を待たずに兵器開発の研究所に連れてこられた。


ジパングの研究所は...なんと言えばいいか。こう、中世の錬金術師のアトリエみたいな感じだった。


大量のビーカーやらフラスコやらと、そして変な妖精とか見慣れぬ生物が散乱してる。


「善意ねぇ...」


「他でもないリリー様のご依頼だ。お前は日本軍を無力化する武器を作る。頼むぞ」


「まだやるなんて言ってないんぞ俺は」


「無駄だ。やらないとしてもオレはお前に操作魔法をかけて強制的にやらせる。お前に拒否権はない」


なんだそれは。。。ジパングの魔法ってそんなこともできるの?


「ほーん?そんな便利な魔法あるの?だったら最初から使えばいいだろうが」


「リリー様は、あくまでお前の意思で武器を作らせたいのだ」


「けど嫌だって言ったら結局魔法で無理矢理やらせるんだろ?意思確認の意味なくない?」


「馬鹿者。リリー様は、お前を尊重したのだ。我々ジパングは人道を重んじる」


なら操作魔法使っちゃダメでは...?


と、言いかけたが。彼らにも背に腹は変えられぬ事情ってものがあるんだろうな。


自分のために人を殺す兵器を作った俺の言える言葉ではなかった。





「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜また1週間かよォ〜〜」


現在、ジパングの兵器研究施設の一部屋。


1週間後までに無力化新兵器を作る。


それができなかった場合、俺に操作魔法をかけて無理矢理にでも作らせる。


今回の流れはこういう流れになりました。


うむ。なんだろう。


ジパングに拉致されて、そしてかつ美男美女に連行されて武器を作るって流れまではそれなりに新鮮味を感じたんだが。


「流れ変わって...ない...。既視感がすごいぞ!!!」


俺はあと何回1週間で新兵器を作るっていうデスマーチをさせられるんだ。


戦争終わるまでに300回くらいしそうじゃない?俺の心身がもたないわ。


い、いや待て。待つんだ。。。


今回は現地ジパングの魔法がふんだんに使えるな?これは、ちょっと楽しいかもしれない。


俺の人生の処世術。


これさえあればあらゆる状況に対応...できるから。多分。それはつまり、


「考え方を変えろ」



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