第3話 逝きそうです
群馬県前橋市に連れてこられた。
新武器が完成したその1週間後に連れてこられた。
あのハゲ上官の命令で、この、隣にいる
日本軍でも稀な女性部隊長である四条隊長は、俺の隣で淡々と説明した。
「前橋市はジパングとの交戦状態が1か月前からつづいています。わが日本軍は劣勢。ここを落とされると、一気に東京まで侵攻される恐れがあります」
「はぁ、そりゃあ大変だぁ」
「大倉さんのこの新兵器を30丁、量産して我が部隊に支給しました。今日はその実践投入です」
「敵に向かって引き金を引けば弾が出ます。それを当てるだけです。弾は10発だけ。特別なことはなにもない」
「弾切れを起こした場合、再装填は可能ですか?」
「うーん、新しい魔法石があれば、って感じですねぇ。エネルギーを使い果たしてしまうので、ジパングの兵が持ってる魔法石を奪うしかないかなぁ」
「了解です」
「なんだこれは、、たまげたなぁ」
ほんとうにたまげた。目の前の惨状に対してだ。
「す、すごいです大倉さん!この銃は無敵です。総員、最前列を押し上げろ!!前橋を奪還するのだ!」
「うおおおお!!!」
自分の作った銃を構えた日本軍たちが、ぶっぱなしながら敵の壁を押し上げてゆく。
いわゆる塹壕を掘ってそこに隠れて戦闘を行っていたのだが、みんなその穴から這い上がって前へ前へと突撃していった。
「隊長、この銃すごいですよ。敵の攻撃も防御も無力化できます」
「弾数に気をつけろ!魔法石は敵から奪うのだ!!」
さらっと言ったことだった。
日本軍の兵士たちは倒れたジパング兵の懐から魔法石を奪っていく。あんまり見ていて気分の良いものでもなかった。
「もうこれ俺ここにいなくていいですよね、、っていうかなんで一緒になって俺も銃を撃たないといけないのよ。。」
「命令なので。兵士たちの士気も上がっているので私は大助かりですよ」
「もうこれはこの銃を量産していけば日本は勝ったな」
俺は英雄として一生遊んでくらせるのでは?
というか、この銃を軍に売りさばいていけば生活に困らなそう。なんてこった。最初からそういう商売をすればよかった。
みるみる日本軍の前線が押し上げられ、敵が撤退していく。
ジパング兵が撃ってくる魔法。火球やら電撃やら氷やらは、俺の作った銃の魔法壁で全部防がれた。
敵の魔法をそのまま使ってるからなぁ。でもまさかこんなに大戦果とは。
「大倉さん!危ない!!」
「ファ!?」
ドカーン!
なにかが飛んできて自分の身体が吹っ飛ばされた。
まるで車が時速100kmのスピードで突っ込んできたような衝撃だ。
キーンという耳鳴りと共に意識が回復する。な、なにが起きた?
背中に激痛が。あと、頭がくらくらして視界がよく見えない。
「なんてことだ。敵に、私たちの銃を奪われた」
四条隊長は驚嘆の眼差しで前方の敵を見た。
「大倉さん!だいじょうぶですか!?生きてますか!!」
「...逝きそうです」
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