第4話

 次の日、祖母と叔母に別れを告げる時、僕はまた来ていいか、と尋ねた。二人は複雑な顔をしながら、もちろん、と言ってくれた。それは僕もだったに違いない。許せない感情や、許したい気持ちや、これから悩まなくてはいけない色んな物を抱えながら、僕は父さんのところへ行くことにした。

 受け入れるにはまだ実感がわかない。でも、どこかで酷く怖がっている。どこかで消化しようと四苦八苦している。だって誰を責めればいいのかわからないし、誰が悪いのかも見当がつかなかった。伯父――僕の本当の父はもういないのだから。

 じっくり考えたいのに、時は待ってくれない。全てが事実で、今、目の前のことが現実だった。

 だから、僕は家の前について、これからのことを考える。何が起こるかわからない。でも、僕は今日、きっと本当のことを聞きに来た。父さんから、直接聞かなくてはいけないのだ。

 持っていた鍵を見つめて握りしめた。それを使わずに、呼び鈴を押す。インターホンから「はい」と父さんの声が聞こえてくる。

「父さん」

 話をしよう、父さん。

 僕、あなたから聞きたいことがたくさんある。

 そして、これから、家族になろうよ、父さん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Pedigree 朋峰 @tomomine

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ