第2話 ジュース

 楓樹が冷蔵庫からジュースを取り出し、コップに注ごうとしていた。私は今、アイロン中。


「ねー、お母さん。これ何って読むの?」


 楓樹がジュースのパックのある部分を指して、私に何って書いてあるかを聞いてきた。


「これ? よく振ってからお飲みくださいだって」


 楓樹が指した部分には『よく振ってからお飲みください』と書かれていた。飲み物によく書いてある言葉だ。


「そうなんだ」


 楓樹は納得した様子でそう言い、コップを振り始めた。――えっ?


「何してるの?」


「だって振るんでしょ?」


 楓樹はまだコップを力強く振っている。いや、それ振っても意味ないでしょ、ジュースのパックを振らなきゃ。


 

 



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