勘違い

友川創希

第1話 お肉と花火

 私の息子の楓樹ふうきはよく勘違いをする。




『よく肉は火に通して――』


 楓樹が珍しく料理番組を見ていた。楓樹は料理に興味が出てきたのかな?


「楓樹ー、もうそろそろ花火しよう!」


「うん、やるやる!」


 テレビを見ていた楓樹がチーターのようなスピードで私の元へ駆け寄ってきた。


 今日は楓樹と近くのホームセンターで買った花火を、家の駐車場でやることに決めていた。 

  

 真っ暗な外を照らす、小さなイルミネーション。私も少し楽しみだった。


 私は準備の為少し早く外に出た。準備ができると楓樹を呼んだ。


「えっ?」


 その楓樹はなぜだか特売で買ったお肉を持っていた。


「どうしたの、それ?」


 私はわけがわからず楓樹にそう聞く。


「お肉はよく火に通すんでしょー。だから今から花火で火、通すの」


 いやいや、火の通し方っていうもんがあるでしょ。





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