第4話タケちゃんマン

福島はオリエンタル製紙の社長、竹中に電話した。

「もしもし、タケちゃん?」

「おぉ~、久しぶり師匠。今日は何の御用で?」

「いやね、ちょっと相談事があって、いつもの割烹料理屋で一杯どうかな?」

「師匠、6時からでいいかい?現場から問題ごとが起きてね」

「いいよ。6時ね。待ってる」


6時。


「いやぁ~、お待たせ師匠」

「忙しい中、悪いね」

「いやいや、師匠と飲む酒が一番旨いんだよ」

2人は割烹料理屋へ入店した。

カツオのタタキとハモを注文して、生ビールで乾杯した。

「タケちゃん、話があるんだが」

「なんだい?」

「うちが、輸出事故起こして、オリエンタル製紙、つまりタケちゃんの会社に訴えられそうなんだ」

「なんだ、その事か」

「知ってたの?」

「知ってるも何も、現場の人間だけが騒いでいてね」

「裁判の話しは無しにしてもらえないだろうか?」

「別に、うちは手広くやってるから、5000万円なんて、はした金よ!」

「じゃ、トラックの手配だけでいいかな?」

「もちろん、師匠の会社と仲良くしたいしさ」

「じゃ、手間賃500万円でいいかな?」

「そんな、気を遣わなくていいよ」

「カタチだけ」

「いいよ」


翌日。

「社長、オリエンタル製紙が500万円の弁金で済ますそうです」

「何だと?直ぐにお客様相談室の福島を呼べ!」


「師匠……福島君。今回はありがとう。特別ボーナスで200万円支給しよう」

「え?いいの?」

「もちろん、会社を救ったボーナスだよ」


福島は中村トランスポートコーポレーションの英雄として、名前が広がったのである。

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飲酒の鉄人 羽弦トリス @September-0919

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