第3話始まり
この事件はお客様相談室にかかってきた、一本の電話から始まる。
「はい、中村トランスポートコーポレーション、お客様相談室小林でございます」
「……はい。申し訳ございません。……少々、お待ちくださいませ」
小林は入社、18年目の楠木に、
「オリエンタル製紙会社さんから、クレームです」
「先方は何を言ってきたの?」
「パルプ、コンテナ5本分ニューアークと間違ってニューヨークにうちの会社が輸出したみたいです」
「なんですって!私たちでは、話にならないわ。山田課長に相談してみる」
山田課長は顔を真っ青にして、電話を引き継いだ。
「お電話代わりました。山田と申します。……はい、はい。申し訳ございません。
……もちろん、弊社が手配しま……!!裁判っ!申し訳ございません。直ちにトラックの手配をいたしますが……もしもし?もしもし?」
課長はおろおろしながら、今村常務に連絡した。
「なんだと!輸出事故じゃねえか!で、弁金は5000万円だって?それと、工場をストップさせた損害の裁判だと?」
今村は顔を真っ赤にして、現場の人間の聞き取りを指示し、緊急の会議を開いた。
中村社長は、事の経緯を聞き何とか弁償金で収めようと考えていた。
オリエンタル製紙とうちの会社とは長年の付き合い。
オリエンタル製紙が外れると、うちの会社は大打撃を受ける。
今村常務に裁判だけは避けるように、対応策を練る様に指示した。
!!そうだ!あの手がある。
中村社長はオリエンタル製紙との繋がりを持つ福ちゃん師匠を社長に呼ぶために、お客様相談室に連絡した。
「はい、お客様相談室、山田です」
「山田君、福島君を社長室に来るように伝えてくれ」
「し、社長、福島をですか?」
「何度も言わすな!」
「はい。失礼しました」
山田課長は意味も分からず、福島に社長がお呼びだと伝えた。
「ええ~、社長がぁ~?」
「早く、行ってくれよ!福島君」
「はいはい」
福島は社長室に向かった。
秘書が社長室に案内した。
「お呼びでしょうか?」
「福島君、力を貸してくれ」
「何があったんですか?」
「君は昔、オリエンタル製紙の竹中社長の接待をした事があったよね?」
「あぁ、タケちゃんか。あるも何も、先週も飲みましたよ」
「し、師匠助けてもらえんだろうか?うちがオリエンタル製紙に訴えられる寸前なんだ」
「わかりました。賢ちゃん。ちょっと、出てくるわ」
「お願いするよ。山田課長には私から連絡しておく」
「あいよ」
中村社長はお客様相談室の山田課長に内線で、オリエンタル製紙の聞き取りに向かったと伝えた。
福島は中村トランスポートコーポレーションを救う事ができるのだろうか?
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