第4話

「うーん。朝ね・・・」


カーテンのすき間から差し込朝日が私のまぶたを開く。今日も1日が始まります。背筋をうぅんと伸ばすと、自然と1つあくびが出ます。5月の中旬、昨日のこと、私、宝城万梨香(ほうじょう まりか)は、15歳の春、恋に落ちました。


私を助けてくれた名も知らない男性ですが心あたりがあります。今日は学校がある日なので友達であるゆるいちゃんに相談してみようと思います。(これが心当たりです)さて、学校に行く準備をしなければ。ですね。




登校し、昼休みの時間になりました。お昼ご飯を一緒に食べるためにゆるいちゃんの席まで行きます。


「ゆるいちゃん。やっとお昼ご飯の時間になりましたよ。今日も一緒に食べましょう!」


「いいよ。一緒に食べるなら10分500円になるけど。それでも良ければ」


今日も守銭奴ジョークを炸裂させているゆるいちゃんのジョークを「またまた~」と流して一緒にお昼ご飯を食べてもらいます。


ゆるいちゃんに早速気恥ずかしいのですが相談を切り出します。

もくもくとトマトをはしを使って掴もうと苦戦しているところ悪いのですが

話かけさせてもらいます。


「ゆるいちゃん、実はですねー・・・」


昨日のことを興奮を隠しきれずに話していくと、対照的に冷静なゆるいちゃんは

「なるほど」とトマトを刺して食べることでトマト戦を終えて答えてくれました。


「それは容姿の特徴からしてー・・・」


ゆるいちゃんは、情報通な面もありますので

私の恋のお相手にも見当をつけてもらえました。




放課後、ゆるいちゃんの情報を頼りにその方のいる部活動の部室の窓を失礼ながらのぞかせてもらいました。

そっとのぞいていますと、タイミングが良かったのかあの方が見えました。


(間違いないわ・・・あの方です!)


せっかく見つけることのできたあの方の姿をそのまま見つめていたかったのですが、窓の方に私の気配を感じたのか彼が振り向いてしまったので、いそいでしゃがみ、姿を隠しました。


―・・・でも、これで間違いないです・・・

同じ高校に偶然通っていたことも奇跡だと思うのに、さらに同学年だったとなると運命を感じてしまいます。


私の初恋の彼、お近づきになりたいです。

お礼の言葉だけでは足りないです。

まずはきっかけ作りのためにも

何かお礼の品を用意しましょう。


お礼の品は何が良いかしら・・・?

色々よく考えて気持ちを込めてでも重たくなりすぎない物を贈らなければですね。


今日中に品を選ぶより、もう数日くらい考えて

買いましょう。名も知らないのにいきなり特定して私が現れてしまうと

警戒されてしまうかもしれません。

心のままに勢いよく走ってしまいそうな高鳴りを抑えながら、私は帰路に着きました。

待っててください。「黒魔術の伝道師さん」・・・。

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